<連載>次世代ネットワーク監視「Telemetry」徹底解説(最終回)Telemetryの使い方[実践編]

本連載では、ネットワークインフラの監視における「次世代SNMP」の位置づけとして注目を集める「Telemetry」について、具体的な使い方も交えながら解説します。最終回は「Telemetryの使い方(実践編)」として、実環境への適用を想定したTelemetryデータ収集基盤の全体像やネットワークインフラの可視化、ビッグデータ解析による予兆検知をご紹介します。

Telemetry利用時に考慮すべき点Telemetryを利用したデータ収集やビッグデータ解析をする場合には、SNMPを利用したデータ収集に比べてデータの取得間隔が短くなる分、蓄積するデータの容量が増えます。

そのため、データの保管場所を新たに確保する必要が出てくるかもしれません。また、ネットワークを流れるトラフィックの増加も考えられるため、それを考慮した帯域や物理配線も必要になります。

取得したい情報を決める際に、全ポートから情報を取得するか、特定ポートからのみとするかによって、データの総量は大きく変わります。ベースラインの取得をするという面で多くのデータを取得することを推奨しますが、まずは、監視したい特定のポートからデータの取得をするようなスモールスタートも考える必要がある場合があります(図表6)。

図表6 Encodingによるデータ量の比較
図表6 Encodingによるデータ量の比較

また、大量のデータを扱うための分析用マシンのリソースについても考慮しなければなりません。データが集まっていても、分析のレスポンスが遅くなってしまうと、障害への迅速な対応やフィードバック制御ができなくなってしまいます。分析基盤が全体のボトルネックにならないような設計も必要となってきます。

まとめ今回は自律型ネットワークを例に、Telemetryの使い方を紹介しました。

自律型ネットワークに向かうためのステップとして、粒度の細かいデータの取得やリアルタイム可視化を考える上で、Telemetryは必要な技術となります。単なるSNMPの代替としてだけでなく、Telemetryには取得したデータの有効活用という面で、多くの期待が寄せられます。

全3回にわたって次世代のSNMPと位置づけられるTelemetryについて解説しました。

Telemetryを用いることで、ネットワークインフラのリアルタイムな状態の可視化や予測をもとに、プロアクティブな運用をすることができます。今後のネットワーク運用を見据えたインフラとして、Telemetryの利用を念頭に置いた設計を始めてみてはいかがでしょうか。

月刊テレコミュニケーション2018年7月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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