[シリーズ]FUTURE NETWORK 第5回AIがネットワーク運用の司令塔に――健康診断から応急処置まで自動化

人手では見つけることが困難なネットワークの問題をAIが検知して治す――。ネットワークの自律的な運用を可能にする技術開発が進んでいる。早ければ今年にも実用化に向けた動きが始まりそうだ。

「精密検査」をネットワークが自動でプロアクティブ制御型ネットワークを実現するための要素技術は、上記で述べた以外にも多岐にわたる。NTTはそれらを組み合わせながら、長期的な視点でネットワーク運用の自動化を進めようとしている。

自律的な運用を実現する技術として、もう1つ注目すべき要素技術が、NTT未来ねっと研究所で開発されている。「メンテナンスフリー故障検出技術」だ。一言でいえば、ネットワークに自らの「健康診断」をさせることを目指している。

通常は、ネットワークの挙動や環境に変化があった場合、人間が判断して監視レベルを変更したり、テストを行ったうえで対処法を決める。これをネットワークに自律的に行わせようというのだ。

異常値が見つかった場合に、データの収集間隔を短くしたり、収集するデータの絞り込みを行ったり、機器の動作確認・試験等をネットワークが自律的に実施。その結果、即座に機器交換を行うべきか、継続運転させて定期点検の際に対処するのかなど対応方法まで判断して、作業員に伝える。

この開発を行っているフォトニックトランスポートネットワーク研究部 ネットワーキング方式研究グループで主幹研究員 グループリーダーを務める長津尚英氏は、「一度のデータ分析で結論を出すのではなく、監視ポリシーの制御、分析、試験のサイクルを何度も回して正確な判断をさせる」と話す。人に例えると、健康診断で異常が見つかった人が、まず再検査を行い、さらに必要に応じて大病院で精密検査を行うなどして、徐々に原因や治療の進め方を特定していくのと同じ流れだ。

NTT未来ねっと研究所 フォトニックトランスポートネットワーク研究部 ネットワーキング方式研究グループ 主幹研究員 グループリーダー 長津尚英氏
NTT未来ねっと研究所 フォトニックトランスポートネットワーク研究部 ネットワーキング方式研究グループ 主幹研究員 グループリーダー 長津尚英氏

月刊テレコミュニケーション2017年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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