日本HPが通信キャリア向けセミナー通信事業者が収益拡大するための3つの方向性とは

日本HPが通信事業者の収益拡大をテーマとしたプライベートセミナーを開催した。HPは、IoTやクラウドなどの分野で革新的な技術を提供し、この課題の解決に貢献していくという。

日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2015年5月26日、通信事業者を対象としたプライベートセミナー「HP Telecom Executive Forum 2015」を東京・六本木の東京ミッドタウン ホール&カンファレンスで開催した。

大手PCメーカーとして知られるHPは、サービス向けアプリケーションやOSS/BSSを中心とした通信事業者向けソリューションの有力ベンダーでもある。近年は、強みを持つ企業向けITソリューション事業を活かしてNFV(Network Functions Virtualization)やIoT(Internet of Things)の展開に特に力を入れている。HP Telecom Executive Forumは、通信事業者のエグゼクティブ層、サービスやネットワーク担当責任者、技術研究責任者を対象に、世界市場における通信インフラの技術・ビジネスの動向とHPの最新のソリューションを紹介する場として、この時期に開かれているもの。4年目となる今回のフォーラムでは「通信事業者の新たな収益源の創出」がメインテーマとして打ち出された。

IP化の進展やOTTとの競争の激化など、大きく変化する市場環境の中で将来の収益源をどこに求めていくかが、通信事業者の大きな課題となっている。フォーラムでは、まずHP本社で通信事業者向けソリューション部門のCTOを務めるジェフ・エドルンド氏が基調講演を行い、市場の変化の方向性とこの課題の解決に向けたHPの取り組みを説明した。

変革に取り組まなければ事業は消失する

エドルンド氏は冒頭、通信事業者を取り巻く環境について「社会的、経済的、技術的、規制面で対応の難しい破壊的な力が押し寄せており、事業を変革しなければ既存のビジネスモデルが消失してしまう可能性が高い」と述べた。その変革を支援していくことが、HPの大きなミッションだというのだ。

ヒューレット・パッカード、エンタープライズサービス、コミュニケーション&メディアソリューソンズ(CMS)CTOのジェフ・エドルンド氏

その上でエドルンド氏は、将来通信事業者のビジネスは大きく3つの領域に分かれた形で展開されていくという見方を示した。

1つは通信事業の基本といえる「ネットワークアクセス及びトランスポート」。これは収益率は比較的低いものの、確実に収益の見込める分野といえる。2つ目が「情報及び金融サービス」だ。通信事業者がネットワークを通じて収集した情報を加工してサードパーティに販売したり、決済機能の提供を行ったりするビジネスで、より高い収益が見込める分野だ。

3番目が「サービスファクトリー及びサービスショッピングモール」である。これは、新たな基盤の上でサービスを迅速に開発し、フレキシブルにサービスポートフォーリオに反映して自社のネットワーク以外でも展開していくというもの。OTT的なビジネスモデルといえる。HPは、ここを大きな成長が見込める事業領域と捉えている。

通信事業者はこれらの3分野を全て手掛けることもできるが、エドルンド氏は「いずれかの事業領域に集中することで、高い収益性を得ることが可能になる」と見る。例えば米国などでは、比較的収益性の低いとされるネットワークアクセス分野にリソースを集中することで収益性を高めようとする事業者も現れているという。

この講演でエドルンド氏は「破壊的技術」という言葉を何度も繰り返した。通信事業者の既存のビジネスモデルを破壊する可能性を持つと同時に、これを自らのビジネスに取り込むことで大きな成長を可能にする革新的な技術領域を指す言葉だ。

HPでは、通信事業者向けソリューションの重点分野であるビッグデータ、クラウド、モビリティ、セキュリティをベースに、IoT(モノのインターネット)や次世代コンピューター・アーキテクチャなど、多くの「破壊的技術」の開発を進めているという。

続いてエドルンド氏は、HPが展開を進めているソリューションの中で特に通信事業者の収益拡大に貢献し得ると考えられるものを紹介した。その1つ「バーチャライズドMVNO」は、HPが世界各国の通信事業者から回線を「卸し」で調達し、サービスプラットフォーム、端末などと合わせて提供することで、通信事業者が特定のエンタープライズ向けや、IoT/M2M関連のサービスを容易に展開できるようにするものだ。

最後にエドルンド氏は、HPが開発を進めている次世代技術にも言及した。(1)URLではなくコンテンツの内容を把握することで年少者への視聴制限を行う次世代ペアレントコントロール、(2)80センチメートル程度の精度を持つ屋内測位技術、(3)三次元データ解析、(4)新たなコンピューター・アーキテクチャとして開発が進められている「The Machine」などを紹介した。

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