導入・選定ガイド

BYOD管理の“新本命”「MAM」と「MCM」とは?【中編】

BYODを検討中なら知っておくべき「MAM(モバイルアプリ管理)」の基礎知識

文◎太田智晴(編集部) 2013.06.10

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BYOD時代のスマートデバイス管理の“本命”として急浮上しているMAMとMCM。効率的な管理によりスマートデバイスの導入、とりわけBYODを成功させたいなら、MAMやMCMはベストの選択肢だ。中編ではこのうち、MAM(モバイルアプリケーション管理)ソリューションについて基礎から解説する。

MAMでラッピングできるアプリケーションの種類は?

こうしたラッピング/モバイルアプリコンテナ型のMAMは、シマンテックやシトリックス・システムズ、AirWatch、ソリトンシステムズ、モバイルアイアンなどから提供されている。製品選択時のポイントとしては、先に紹介した5つの主要機能への対応状況に加えて、ラッピングできるアプリケーションの種類も挙げられる。

例えば、シトリックス・システムズ・ジャパンのMAM製品「CloudGateway」の場合、ネイティブアプリ、XenDesktop/XenApp化されたWindowsアプリ、Webアプリ(SaaS)と幅広く対応する。ネイティブアプリについては、CloudGateway用に独自開発・カスタマイズが必要なものの、ブラウザやメール、スケジューラといった基本アプリは最初から用意されている。なお、ソースコードの改変が必要なのはCloudGatewayに限った話ではなく、多くのMAM製品に共通するが、ソースコードの改変なしにネイティブアプリをラッピングできるシマンテックのMAM製品「Symantec App Center」もある。


シマンテックのMAM製品「Symantec App Center)の概要
シマンテックのMAM製品「Symantec App Center」の概要(NRI 藤吉氏の講演スライドより)


また、ラッピングした業務アプリケーションの登録・配布・管理を行う企業向けアプリストア機能のユーザービリティや管理性などもしっかり確認しておきたいところだ。エンドユーザーである従業員が迷うことなくセルフサービスで必要な設定やアプリのダウンロードなどができるかどうかで、IT部門にかかる運用負荷は大きく変わってくる。

デバイス内にデータを一切保存しない、もう1つのMAM

ここまで解説してきたラッピング/モバイルアプリコンテナ型のMAMは、基本的にはデバイス内に業務データを残すことを前提にしたソリューションだ(業務アプリケーション毎に、データをデバイス内に残さないように設定できる製品もある)。だからこそ、暗号化や選択的なデータ・ワイプといった機能が提供されているわけだ。

しかし、やはりデバイス内に業務に関する情報を一切残したくないという企業も多いだろう。リモートワイプの成功率は、思いのほか低く10%ほどに過ぎないという声も最近よく聞かれる。電池切れや圏外などが原因で、リモートワープが実行できないのだ。

そこで、デバイスにはデータを一切残さないタイプのMAMも存在する。例えば、VDI(仮想デスクトップ)もこうしたタイプのMAMとして捉えることが可能だ。また、デバイスにはデータを残さないように制限をかけたセキュアブラウザも、その一種として考えられる。

ラッピング/モバイルアプリコンテナ型のMAMよりも高いセキュリティ強度を実現できる一方で、こうしたデータをデバイスに残さないタイプにももちろん課題はある。「問題はユーザーのエクスペリエンス」とガートナーのチャン氏は指摘する。

快適に利用するには、高速なネットワーク環境が必要。また、ユーザーインターフェース(UI)にしても、VDIの場合はキーボードとマウスを前提にしたWindows PCのUIだったり、ネイティブアプリの操作性にはどうしても及ばない。

こうした欠点を補い、両タイプのMAMのいいとこ取りを目指したのがレコモットのMAM製品「moconavi」だ。スマートデバイス向けにUIが最適化されたネイティブアプリからネットワーク越しにメールやスケジューラ、CRMなど、さまざまな業務アプリケーションを利用できる(関連コンテンツ)。また、デスクトップ画面を画像で転送するVDIでは高速大容量のネットワークが必須だが、moconaviはネットワークに対する要求も高くないという。

レコモットの東郷剛氏は、「デバイスにデータを持たずワイプが不要なので、運用管理者の負担はかなり低い。BYODで利用されているユーザー企業の方からは『BYODの導入を検討したとき、moconaviしか選択肢がなかった』とよく言われる」と話す。


moconavi
moconaviのユーザーインターフェース


MAMはまだ出始めたばかりのソリューションだが、既存のMDMベンダーに加えて、アルバネットワークスやF5ネットワークスのようなネットワーク機器ベンダーまで、様々なプレイヤーが続々と参入している。マルチデバイス時代、ITコンシューマライゼーションの時代においては、アプリケーション視点でなければ適切な管理は行えない――このパラダイムシフトに多くのベンダーが気付いているからだ。野村総合研究所(NRI)の藤吉栄二氏は、「将来的にMAMにMDMが統合されると考えられる」との見方も示している。

次回の後編『MCM(モバイルコンテンツ管理)でDropboxシンドロームを乗り越える』では、MCM(モバイルコンテンツ管理)を詳しく紹介する。攻めのBYODだけではなく、シャドーIT対策としても重要なソリューションだ。

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