――まずダイアロジックについて、簡単に紹介していただけますか。
ジム・マッチ 最近、我々は「Build on Dialogic」という新しいキャッチフレーズを作りました。「ダイアロジック製品の上で、何か新しいソリューションを作ってください」という意味ですが、この言葉が示すように、我々は通信事業者などが通信ソリューションを展開するにあたって必要となる開発ツールなどを提供している会社です。クルマでいえばエンジンを提供する会社といえるでしょう。
ダイアロジック製品は、IVRやリングバックトーン、FAXサーバーなど、世界中の通信ソリューションで使われており、携帯電話の加入者数でいうとダイアロジック製品を利用しているユーザーの数は2億加入に上ります。また、月間15億分の通話が我々の製品の上で行われています。
――ダイアロジックでは今後、どのような分野に注力していく考えですか。
ジム・マッチ これから成長するであろうマーケットは大きく3つあると考えています。モバイルインターネット、クラウドコンピューティング、VoIPです。我々は非常に多岐にわたる顧客を持っていますが、その顧客ベースに対して、この3つの成長市場に関するソリューションを提供していくというのがダイアロジックの戦略の1つとなります。
モバイルインターネットについては、特にモバイルビデオのマーケットが成長しています。その大きな要因として挙げられるのは、処理性能が高く、スクリーンサイズも大きいスマートフォンの普及です。さらにLTEなどインフラ整備の進展も、モバイルビデオ市場の成長に寄与するでしょう。こうしたトレンドのなか、単にビデオコンテンツをモバイルで閲覧するというだけでなく、さまざまなモバイルアプリケーションにビデオを搭載する動きも同時に活発化していくだろうと見ています。
クラウドに関しては、通信事業者も積極的に展開していますから、我々もしっかりクラウドに取り組んでいくということですね。3つめのVoIPについては、最近ではPBXの90%以上がIP化するなど、どんどんピュアIPの世界に近づいています。ダイアロジックはメディアゲートウェイやメディアサーバー、SBC(Session Border Controller)といったIPネットワークをつなぐための製品を持っていますので、VoIPがコモディティ化すればするほど、我々のビジネスも広がっていきます。
(左から)バイスプレジデント(アジアパシフィック担当)のエーモン・カーン氏、シニアバイスプレジデント(マーケティング担当)のジム・マッチ氏、エグゼクティブバイスプレジデント(ワールドワイドフィールドオペレーションズ担当)のケビン・クック氏 |
モバイルビデオサービスの代表例
――モバイルビデオを活用したアプリケーションやサービスの例には、どんなものがありますか。
ジム・マッチ 基本的なサービスの1つとしては、IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答)にビデオの機能が付いたIVVR(Interactive Voice and Video Response)があります。それから、リングバックトーンにビデオを載せたり、オンラインゲームにおいてビデオで一斉同報できるコミュニケーション機能を付けたり、ビデオ広告を流したり……。アップルのApp Storeに代表されるように、以前なら通信事業者だけが提供できたようなサービスが、今ではもっとユーザーに近いところで開発できるようになっていますから、他にもいろいろなアイデアが登場してくるはずです。
――IVVRのコンセプトはかなり以前からありますが、実際の導入例も増えてきているのですか。また、ビデオ広告の実例もすでにあるようなら教えてください。
ケビン・クック IVVRは特に南米や欧州で増えてきています。業種別でいうと、やはり銀行が採用するケースが多いですね。とりわけIVVRはディスプレイの大きいスマートフォンに適していますから、今後ますます普及してくるでしょう。
ビデオ広告については、例えば韓国でテレビ電話と組み合わせたサービスが提供されています。テレビ電話の料金は高額ですが、その中にビデオ広告を挿入することによって、ユーザーはテレビ電話を安くかけられるのです。