下関市のテレビ会議導入効果――移動時間短縮で「地域内分権」を後押し

各地域の職員が地元の業務に専念できる環境を作りたい――。下関市は今年9月、本庁と総合支所間の連絡効率化を狙いテレビ会議「Wooolive」を導入した。導入後2カ月で早くもその効果が浸透し始めている。

テレビ会議の導入効果は「期待以上」

テレビ会議の導入効果といえば、誰もが真っ先に「移動・出張費の削減」を思い浮かべるだろう。下関市ももちろん、それを期待しないわけではないが、より比重が置かれているのは時間の効率化と意思決定の迅速化だ。

全国あるいは海外にも拠点を展開する民間企業に比べれば、自治体にとって経費面での効果は小さく、テレビ会議を導入するケースはまだ稀だ。そうした中、下関市が今回導入を決めたのには下地がある。

同市は現在、09年3月に就任した中尾友昭市長が掲げる「地域内分権」を推進している。

旧4町の総合支所の機能と権限を強化。総合支所長が各地域の「コーディネーター」としての役割を担い、職員が地域に密着した業務を通して行政機能の強化・効率化を目指す方針だ。情報政策課長の河合和泉氏は、「テレビ会議があれば、総合支所長も職員も本庁との往復に使っていた時間を有効に活用し、業務に専念できる」と話す。

総合政策部 情報政策課長 河合和泉氏 総合政策部 情報政策課 IT推進室長 倉本隆司氏 総合政策部 情報政策課 主任主事 馬場教義氏

導入後まだ2カ月の段階ながら、その効果は確実に浸透してきている。

当初は、市長と本庁の地域支援課、総合支所長とで行う月数回の部長会、地域連絡調整会議を中心に、主に本庁と総合支所のキーマンが集まる定例会議での利用から運用を始めた。そこから「これは使える」との評価が浸透。徐々に、緊急の案件をテレビ会議で処理するというケースが出てきている。「総合支所同士でも気軽に使われているようだ。簡単な操作でストレスなく使えると評価されているが、実態にもそれが表れている」と、主任主事の馬場教義氏は語る。

今後は、他の拠点や部署からの希望に合わせて活用範囲を広げていく方針だ。Woooliveは会議専用端末だけでなく、PCも端末として使えるため低コストに展開できるのも利点の1つだ。また通常の会議だけでなく、災害時にカメラで撮影した現場映像を共有しながら本庁と支所とで対応を協議するといった、緊急連絡体制の強化にも活用できると見込んでいる。

「利用の場を広げていく。東京事務所のPCとつなげれば、市長が東京出張中でも地元の幹部とすぐに会議ができる。そうしたさまざまな使い方を提言していきたい」と河合氏。Woooliveの活躍の場はさらに広がっていきそうだ。

月刊テレコミュニケーション2010年12月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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