下関市のテレビ会議導入効果――移動時間短縮で「地域内分権」を後押し

各地域の職員が地元の業務に専念できる環境を作りたい――。下関市は今年9月、本庁と総合支所間の連絡効率化を狙いテレビ会議「Wooolive」を導入した。導入後2カ月で早くもその効果が浸透し始めている。

本州最西端にある下関市は、2005年2月に1市4町が合併して新たに発足した。人口は28万人超と山口県最大、中国地方でも有数の規模を誇る。

同市ではかねてから、本庁舎と旧4町の総合支所間の移動が課題となっていた。旧下関市の約3倍に面積が拡大したのに加え、本庁舎は市内の南西端にある。集合会議を開催するたびに、会議時間より遥かに長い移動時間がかかる場合がある。

会議の度に半日潰れる。どうにかならないか――。これを解決するため、同市は日立製作所のテレビ会議「Wooolive」を導入。今年9月から運用を開始した。

「テレビ会議のイメージが変わった」

システムの選定は今年6月、公募型プロポーザルによって行われた。総合政策部情報政策課が策定した要件・仕様に基づき、計7社のシステムを比較。特に「映像と音声の遅延がなくスムーズに会議が行えるかを重視した」と、同課・IT推進室長の倉本隆司氏は話す。

導入に向けての検討は昨年から行ってきたが、最初は倉本氏らも「テレビ会議は映像が粗くて途切るので『使えない』というイメージがあった」という。だが、HD対応製品を調べるうちにそれも払拭。綺麗な映像でストレスなく会議を行えるよう、「映像は720p/30fps以上」「1拠点当たり2Mbps以下」「話者を自動で優先的に表示する機能を有する」「拠点ごとに通信帯域を制限する設定ができる」「エコーキャンセラ機能を有する」などの要件を提示した。

また、拡張性も重視した。運用開始時は、本庁舎に4端末、4つの総合支所に各1端末の5拠点8台の構成としたが、利用シーンの拡大に備えて、サーバーの入れ替え無しに端末とライセンスの追加のみで同時接続20拠点までの会議に対応できることを条件とした。

6月末に行われた選考会では、実際に下関市のネットワークを用い、複数の拠点を結んでデモを実施。前述の要件のほか、サポート体制などさまざまな点を評価し、Wooolive採用を決めた。導入時にはネットワークの増強も必要なく、これにより、ランニングコストを抑えることにも成功した。

図表 テレビ会議システム「Wooolive」の展開状況
図表 テレビ会議システム「Wooolive」の展開状況

月刊テレコミュニケーション2010年12月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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