総務省は2022年5月20日、「新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会」第8回会合を開催した。
同検討会は、電波の有効利用の促進や電波の公平かつ能率的な利用を確保する観点から、諸外国の周波数割当方式のメリット等を考慮しつつ、我が国の新たな携帯電話用周波数の割当方式について検討を行うことを目的としている。
第8回会合では、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)とテレコムサービス協会 MVNO委員会からヒアリングを行った。
CIAJの石井義則氏は、検討会の1次取りまとめで分類された諸外国の携帯電話用周波数の割当方式に言及し、「我が国の割当方式はスコアリングオークション方式に近いと理解している」と指摘。その上で、今後のあるべき割当方式の検討に際しては、①公共の福祉の増進、②情報通信に関する産業政策、③産業の活性化や市場の拡大といった観点を踏まえ、慎重に検討される必要があると語った。
我が国の割当方式はスコアリングオークションに近いという |
このうち情報通信に関する産業政策の観点では、「周波数オークションが導入されると落札額が高騰し、ひいては機器コストへの低減抑制につながることを危惧している。サプライチェーンを構成している企業が持続的に発展できるよう配慮してほしい」と要望。「特定基地局開設料」などの収入も通信事業者や機器メーカーなどの技術開発や標準化活動など、日本の国際競争力確保のために使われるべきであるとした。
テレコムサービス協会 MVNO委員会の佐々木太志氏は、「周波数の有限希少性から少数のMNOによる寡占となりがちなモバイル市場を活性化し続けるために、MVNOの存在・役割は将来にわたりきわめて重要と認識している」と前置きしたうえで、「オークション方式など携帯電話用周波数の新たな割当方式を検討する際も、MVNO側からの視点について十分考慮いただく必要がある」と述べた。
具体的には、オークションの導入により周波数の経済的価値や投資の回収という意識が強くなり、MVNOへの機能開放に対するインセンティブが低下するのではないかという懸念がある。また、落札額の過度な高騰が生じた場合、投資回収の意向が強く働き、5G SA、さらにはBeyond 5Gの普及促進において人口の少ない地域は後回しになるといった地理的な格差が生じる恐れがあるとして、「純粋オークションではなく、条件付オークションあるいはスコアリングオークションとし、エリア展開に関しても一定の基準を課すことが必要ではないか」と指摘した。