この1~2年、スマートフォン販売のデジタルシフトが進んでいる。
きっかけとなったのが、オンライン専用プランの登場だ。
昨年3月、菅政権(当時)の携帯電話料金の値下げ要請を受けて、NTTドコモ「ahamo」、KDDI「povo」、ソフトバンク「LINEMO」と大手3事業者から新料金プランが相次いで発表された。
いずれも契約やサポートをオンラインでの対応に限定する代わりに、従来の料金プランと比べて安価に設定している。
これらのプランを利用しているのは、主にインターネットに慣れ親しんでいるデジタルネイティブ世代だ。例えばahamoの契約者は20~30代が中心で、全体の約半数にのぼる。「その結果、ドコモショップの来店者数に占める20~30代の割合が減少している」とドコモ チャネルビジネス部 ブランドショップ 担当部長の大滝知道氏は明かす。
もう1つのきっかけが、新型コロナウイルスだ。
特に緊急事態宣言下では多くのキャリアショップが休業や時短営業を余儀なくされ、その期間中はオンライン販売の利用率が高まった。
では、このまま一気にデジタルシフトが進むかというと、必ずしもそうではなさそうだ。というのも、シニア層のように、スマホの契約や使い方に関して「スタッフに相談したい」「サポートしてほしい」という層は一定数いるからだ。
また、キャリアショップでは、光回線や電気、ガスなどスマホ以外にも多くの商材を取り扱っている。「来店目的は多様化しており、来店ニーズは以前よりも高まっている」(ソフトバンク コンシューマ事業統括 ショップ・クルー企画部 部長代行の山下哲也氏)との見方もある。
ソフトバンク コンシューマ事業統括 ショップ・クルー企画部 部長代行 山下哲也氏