住商・東急が基地局シェア参入 Sharing Designの「勝機」 

日本でも普及が始まったインフラシェアリング。今年2月に参入したSharing Designは、親会社である住友商事と東急の事業基盤を活用し、東京・渋谷を皮切りに基地局共用事業を全国展開する。

「日本でも基地局共用の社会的ニーズがようやく高まってきた」。Sharing Design 代表取締役社長の木下伸氏は、このタイミングで基地局共用事業に参入した最大の理由をこう説明する。

住友商事と東急を親会社に持つ同社は今年2月、携帯キャリア向けに5Gを中心とした基地局シェアリングサービスを提供することを目的に設立された(図表)。

図表 基地局共用による携帯キャリアのメリット

図表 基地局共用による携帯キャリアのメリット

海外では、国土が広く自社だけで全国をカバーするのが難しい、携帯キャリアが多数存在しておりシェアできる相手が多い、競争環境が厳しく抜本的なコスト削減が迫られているなど、様々な事情から携帯キャリア間での基地局共用が以前から進んでいる。一方、日本の場合、エリアカバレッジは最重要の競争軸の1つと見なされ、基本的にはキャリアは基地局を共用することなく、各社が個別に展開してきた。

しかし、ついに日本も転機を迎えている。総務省は「Society 5.0」時代におけるICTインフラを活用した地域課題の解決に向けて、条件不利地域の基地局整備や5Gの普及展開、鉄道/道路トンネルの電波遮へい対策、光ファイバー整備を一体的かつ効果的に実施するため、「ICTインフラ地域展開マスタープラン」を策定した。2020年12月に公表された最新版では、2023年度末までに28万局以上の5G基地局を整備することが目標として設定された。これは携帯キャリアの開設計画の4倍に相当する数字だ。

Sharing Design 代表取締役社長 木下伸氏
Sharing Design 代表取締役社長 木下伸氏

この目標を実現するため、マスタープランには、自治体も含めた官民一体でインフラシェアリングを推進する方針が掲げられた。

SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、インフラシェアリングへの期待は高まっている。設備・資材を共用化し電気代を節約できる基地局共用は、環境に配慮した経営モデルといえるからだ。

「基地局は今後、携帯キャリア各社で“共創する”時代になるだろう」と木下氏は指摘する。

月刊テレコミュニケーション2021年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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