新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業が新しい働き方としてリモートワークを取り入れた。オフィスを見直す動きも広まっており、スペースの縮小、あるいは必要な場所に必要な規模のサテライトオフィスを確保するなど分散化が進む可能性は高い。
このような状況の中、ネットワークへのニーズも変わるのではないかと話すのは、NECプラットフォームズの森田忠春氏だ。「オフィスの小規模化や分散化、あるいはリモートワークの拡大により、ネットワークの拠点数が増加するほか、小規模な拠点に最適なソリューションが求められるようになると考えられます」
さらに、在宅勤務などで利用するインターネット回線を、従業員ではなく企業が整備する責任を負うべきであると森田氏は指摘する。「自宅のインターネット回線を利用する場合、私用PCに感染したマルウェアが業務用PCや企業ネットワークに広がるセキュリティリスクがあります。また、自宅の通信品質に問題があると、リモートデスクトップ接続が頻繁に切れてしまったり、ビデオ会議が不調になるなど、社員の業務継続に支障が出てしまうリスクがあります。各従業員が簡単に安定した通信環境を整備でき、そして万が一のトラブル時にも遠隔からサポートできる仕組みが望まれます」
このような新たな働き方に対応したネットワーク形態として、NECプラットフォームズでは大きく2つの形を想定している。1つは本社と複数の拠点・リモートオフィスを業務用ネットワークで繋ぐ多拠点接続型。2つめは、拠点間の接続をせず、各従業員がインターネット回線を利用してクラウドサービスなどにアクセスするインターネット型だ。NECプラットフォームズではそれぞれに最適な製品を提供している(図表1)。
図表1 NetMeisterを活用したネットワーク全体構成
WA2611E-AP:モバイルで冗長化 1台で無線LAN/WANを構築多拠点接続型に最適なソリューションとして提案するのが、同社の「UNIVERGE WAシリーズ」の1つである「WA2611E-AP」である。
同社の辻雄介氏は、多拠点接続型で使われるルーターには、インターネットVPNで本社に接続できることに加え、ネットワークの安定性も求められると指摘し、WA2611E-APのメリットを次のように述べる。「WA2611E-APは有線/無線LANに加えて2本のモバイル回線もサポートしているため、例えば有線WAN+モバイル回線による冗長化が図れます。また、有線を引き込むことが難しい環境でもキャリアの異なる2つのモバイル回線を組み合わせた冗長化が可能です」
無線LANの環境構築においてはセキュリティもポイントになる。WA2611E-APは内蔵Radiusサーバを利用したIEEE802.1X認証やMACアドレス認証により、業務外の端末によるアクセスを未然に防止する。1台の機器につき、最大12個のSSID(VLAN)を構築することが可能なため、ネットワークをセグメント化して重要データにアクセスできる端末を限定することができる。
辻氏は「WA2611E-APであればルーターと無線LANのアクセスポイントを1台に集約することが可能であり、ネットワーク機器の台数を削減できます」と利点を説明する。