「V2Xによって、クルマ自体の定義が変わる。クラウドがクルマの一部になっていく」。エリクソン・ジャパンCTOの藤岡雅宣氏はこう予想する。
エリクソン・ジャパン CTO 藤岡雅宣氏
信号機などの道路インフラとクルマの関係もV2Xで変化する。
政府は2019年6月に閣議決定した「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(IT新戦略)」で、全国の信号機を5G基地局の整備に活用していく方針を打ち出した。「信号機に5G基地局が設置されてネットワーク化すれば、信号機に取り付けたセンサーで取得したデータを使ってクルマや歩行者を支援したり、いろいろな新しい価値を作っていけるようになる。我々も政府に対して、インフラ協調型のモビリティサービスの実現に向けた様々な提案を続けている」とNEC クロスインダストリーユニット クロスインダストリー事業開発本部 上席事業主幹の早川晶氏は語る。
NEC クロスインダストリーユニット クロスインダストリー事業開発本部 上席事業主幹 早川晶氏
V2XとはVehicle-to-Everythingの略で、クルマと様々なモノの通信技術の総称だ。クラウドなどと接続する広域通信であるV2N(Vehicle-to-Network)と、モノ同士で直接通信する狭域通信の2つに大別され、後者はさらに車車間のV2V(Vehicle-to-Vehicle)、路車間のV2I(Vehicle-to-Infrastructure)、車と歩行者間のV2P(Vehicle-to-Pedestrian)などに細分化できる。
V2Xのための通信技術は複数存在する。例えばWi-Fi規格のIEEE802.11pなどがあるが、代表的なのが、クルマ専用の無線通信であるDSRCと、4Gや5Gを活用するセルラーV2X(C-V2X)だ。DSRCが狭域通信にのみ使われるのに対し、C-V2Xは広域通信でも狭域通信でも利用できる。C-V2Xの狭域通信は3GPPが標準化した直接通信インタフェース「PC5」を用いる。
すでに今、少なくないコネクティッドカーが路上を走っているが、今後V2Xがクルマの定義を変えるようなインパクトを与えることになるのは、C-V2Xは5G時代にさらに高度化するからだ。