大規模映像伝送システムもソフトウェアで集中制御長距離伝送が可能であること、映像配信を簡単に集中制御できることから、大規模施設や多数の表示装置を用いるケースなどで、特にSDVoEのメリットが発揮されやすい。
「広大な施設では映像を1カ所でコントロールするのが難しく、複数のエリアに分けて映像配信を制御することがこれまでは一般的だったが、その場合は映像送出などの作業が複雑化してしまう難点があった。しかし、SDVoEであれば長距離伝送が可能で、なおかつSDVoEコントローラを使って集中制御ができるため、全体を1カ所で集中的にコントロールして省力化できる」
SDVoEはその名の通り、ソフトウェアデファインドで映像伝送から出力形式まで全体の制御が可能だ。そのため、これまでは表示形態に合わせて“専用装置”を用意しなければならなかったマルチビュー(複数の映像ソースを1画面に合成して表示する)や、1つの映像ソースを複数画面に分割して大きな映像として表示するビデオウォールも、図表のようにイーサネットスイッチを核としたネットワーク上でシンプルに構築・運用できる。
ネットギアはこのSDVoEの国内普及を推進するため、率先してイベントを企画・開催するなど活用の場を創出している。銀座 SHORT MOVIE THEATERでは、IDK製のSDVoEエンコーダ/デコーダとネットギアのSDVoEに最適化されたスイッチで映像伝送システムを構成。8Kで記録された短編映画を4Kの49インチディスプレイ4台を利用して再生した。
従来型システムで同サイズの単体ディスプレイを使った場合、その他の設備も含めて約900万円のコストがかかるところ、SDVoEを用いた構成では、約400万円と半分以下のコストで8K映像の大画面再生を実現できたという。
ProAV向けマネージドスイッチでAV over IP市場を支えるこのようにSDVoEは多くのメリットをもたらすが、長らくSDIを“業界標準”としてきたProAV業界にとっては、IPベースへの移行そのものに敷居の高さを感じるケースも少なくないだろう。
ネットギアは、この課題を解決するための工夫も凝らしている。
同社は、SDVoEに最適化したスイッチ製品として「M4500」「M4300」シリーズ、そして「M4250」シリーズをリリースしている。
大規模システムの構築にも対応できるSDVoE対応スイッチ「M4500」
最上位のM4500シリーズは100Gbpsをサポートし幅広い用途で利用でき、前述したAmerican Dreamでも使われている。加えて、1~10GbpsをサポートするM4300、そして1Gbps対応のM4250をラインナップすることで幅広いニーズに応えている。
製品によっては最大90Wの給電が可能なPoE++をサポートしているのも注目すべき点だろう。昨今増加しているPoE対応のオーディオ機器を利用する際にケーブルの取り回しなどの負担を軽減できるほか、PoEインジェクターを使わずに済むためシンプルにシステムをまとめることができる。
そして、競合に対する同社のアドバンテージとなっているのが、初期設定・変更時等に利用するGUIの使い勝手をはじめとするユーザビリティへの配慮だ。「もともとネットギアは、全世界の人々にネットワークを使ってもらうため、より簡単に、よりシンプルに使えるように製品開発を進めてきた。この考えはProAVソリューションにも反映されており、映像系や音響系のエンジニアの方でも設定できるように配慮している」と渡部氏。マルチキャスト配信のように、非IPのエンジニアにとって馴染みのない技術も、容易に設定できるようにしている。
一方、IPを専門とするSIerにとっては、SDVoEによる映像/音声配信システムを手掛けることは新たなビジネス領域の開拓にもつながる。すでに多くの実績を持ち、またサポート体制も充実しているネットギアは、頼れるパートナーとなるのではないだろうか。
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