新型コロナウイルスの感染拡大以降、世界的にリモートワークが広がっている。従来のようにオフィスに出社する働き方と、自宅やサテライトオフィス等で業務を行うリモートワークを使い分ける「ハイブリッドなワークスタイルが広がり、いろいろな形で働く人がメッシュ型でつながる。これが、これからのあり方だろう」とシスコシステムズ 執行役員 コラボレーションアーキテクチャ事業担当の石黒圭祐氏は新サービスの発表会見で話した。
シスコシステムズ 執行役員 コラボレーションアーキテクチャ事業担当の石黒圭祐氏(左)と、
クラウド&ホスティッドコーリング営業部マネージャの泰道亜季氏
そこでポイントとなるのが、「安全かつ確実につながること」(同氏)だ。シスコはこうした新しい働き方を「セキュア リモート ワーカー」と定義。ハイブリッド型のワークスタイルで働く人、企業を支援するためのコラボレーションサービスやセキュリティソリューションを拡充していく方針を改めて強調した。
オンプレミス型PBXをそのままクラウドへ
その1つとして今回発表したのが、「Cisco UCM Cloud」である。
これは、国内でも多くの企業がIP-PBXシステムとして利用している「Cisco Unified Communications Manager(CUCM)」を、プライベートクラウドサービスとして提供するものだ。クラウド&ホスティッドコーリング営業部マネージャの泰道亜季氏は、「既存のCUCMをそのまま移行できる。ユーザーはこれまでどおりの使い勝手で利用できる」と話した。
Cisco UCM Cloudの概要
シスコがWebexデータセンターでCUCMサーバーをホスティングし、ユーザーごと個別環境で運用する。ユーザーはPCやスマートフォンその他のデバイスからインターネット/専用線経由で接続。電話発着信などの豊富な機能が使えるため、在宅でテレワークする際にも、出社時と同様に「会社の番号」で電話を受け、発信することが可能だ。
同社は2019年10月からパブリッククラウド型のクラウドPBXサービスとして「Cisco Webex Calling」をKDDI等のサービスプロバイダ経由で提供しているが、泰道氏によれば新型コロナ感染拡大後、「プライベートクラウドはないのか、CUCMの環境をそのままクラウドに持っていくことはできないかといったご相談を多く受けるようになった」という。
Cisco UCM Cloudはそうしたニーズに合致するもので、豊富なPBX機能が使えるほか、多彩なカスタマイズにも対応する。もともとは米国で政府機関向けに始められたサービスであり、2019年から欧米市場でエンタープライズ向けにも提供を開始。今回、日本でも提供をスタートすることになった。
なお、Cisco UCM Cloudを提供するWebexデータセンターは世界に6カ所。日本では東京およびシンガポールのデータセンターで冗長構成を取り、サービスを提供する。「ターゲットとなるユーザーは1000名以上の企業で、電話業が中心の業種」と泰道氏。金融や公共分野の顧客に対して積極的に提案する考えという。
市場想定価格は、1ユーザーあたり月額1000円からで、設計内容によって異なる。