AWSが解説! 日本でも広がるオンライン診療の現状

AWSジャパンが2020年5月21日に記者説明会を開催し、同社のヘルステック領域における取り組みを紹介した。新型コロナウイルス対策のため行われた規制緩和により国内でもオンライン診療サービスの普及が期待されるなか、AWSを基盤としたサービス開発・提供のメリットについて事例を交えて説明した。

日本国内において、ヘルスケア分野におけるAWSの活用は多岐にわたっている。

アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)インダストリー事業開発部 シニア事業開発マネージャーの佐近康隆氏によれば、研究機関・医療機関等の情報インフラとして使われているほか、健康医療機器で用いられるヘルスケアデータの連携基盤として、あるいは病院・調剤薬局の情報共有、遠隔医療支援など様々な用途でAWSサービスが利用されているという。


AWSジャパン インダストリー事業開発部 シニア事業開発マネージャーの佐近康隆氏(右)と、
オンライン診療サービスを提供するMICIN CEO 医師の原聖吾氏

たとえば、遠隔医療支援では、アルムが開発・提供し和歌山県などで利用されている医療従事者向けコミュニケーションアプリ「Join」や、京都プロメドの遠隔画像診断システム「京都ProMed」がある。どちらもAWS上で開発されており、連携して新型コロナウイルス感染症対策支援にも用いられている。


京都ProMedとJoinの連携システム図

そして今後利用が広がりそうな分野が、新型コロナ感染拡大を契機に規制が緩和されたオンライン診療だ。今回の記者説明会では、2016年からAWSを利用してオンライン診療サービス「Curon(クロン)」を提供しているMICINのCEOで医師の原聖吾氏が、その導入状況と、AWSを活用することのメリットを解説した。

Curonは診察の予約から問診、受信、処方箋の受け取りまでをスマートフォンで完結できるサービスで、現在3500を超える医療機関に導入されている。サービス開始時からAWSを利用しており、原氏はそのメリットとして次の3つを挙げた。


スマホで診療予約から処方箋受け取りまで完了できる。
導入施設数は、今回の説明会開催時点で3500まで増えているという

1つは、豊富なマネージドサービスを活用できること。「我々のようなスタートアップでも、エンジニアリソースが限られるなかで必要な機能を容易に実現できる」と強調した。

また、新たなサービスを迅速に立ち上げられることも大きなメリットだという。今回、新型コロナ関連の新機能/サービスを開発するにあたっても、Amazon ECS(Dockerコンテナの実行・管理)やRDS(リレーショナルデータベース)等を用いて、素早くサービスを立ち上げることができたという。

3つめは、スケーラビリティだ。「新型コロナにより短期間にユーザーが増えたが、アーキテクチャを変えることなくスケールできた」(原氏)。


新型コロナウイルス感染拡大の影響で、医療機関からの問い合わせや新規登録数が急増している

今年2月、新型コロナに係る診療報酬の臨時的な取り扱いが認められるなど、オンライン診療に関する規制緩和が行われ、今後、対象疾患の拡大なども予想されている。こうした制度変更により、オンライン診療に対するニーズも大きく高まっているという。原氏によれば、新規患者の登録数は、1月の平均と比べて4月は約10倍に増加。医療機関からの問い合わせも約10倍に急増している。

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