IoTで始めるHACCP対策 6月の義務化に今からでも間に合う!

2020年、食品業界における一大イベントがHACCP義務化だ。特に中小企業では導入の遅れが指摘されるが、一部工程についてはIoT活用により容易に対応することができる。

2020年6月、食品業界では「HACCP(ハサップ)」が制度化される。

HACCPとは、Hazard Analysisand Critical Control Pointの略称で、「危害要因分析重要管理点」と訳される。

原料の受け入れから最終製品までの工程ごとに、微生物による汚染や金属の混入などの危害要因を予測した上で、危害の防止につながる特に重要な工程については継続的に監視・記録することで安全を担保する仕組みだ(図表1)。

図表1 HACCP方式と従来方式との違い
図表1 HACCP方式と従来方式との違い

6月以降、食品の製造・加工・調理・販売などに関わる事業を行うすべての事業者は、一般的衛生管理プログラム(施設や従業員などの衛生管理)に加えて、HACCPに沿った衛生管理が義務付けられることになる。

従来、食品の安全性を確認する方法としては、出荷段階にある製品をランダムに抜き取り、その品質をチェックする「抜き取り検査」が用いられてきた。

しかし、この方法では汚染された商品が検査をすり抜けて出荷されてしまい、食中毒を引き起こす可能性が排除できない。万が一問題を発見できても、どの工程に原因があるのかを突き止めることは困難だ。

これに対し、HACCPに沿った衛生管理では、異常が認められた段階ですぐに対策を行うことができるため、不良製品の出荷を未然に防止でき、品質や安全性が向上する。

その一方、HACCPには従業員の負荷が増大したり、新たな設備投資にコストがかかるといったマイナスの側面もある。

農林水産省の調査によると、2018年10月時点でHACCPに沿った衛生管理をすでに導入済みの企業は41.9%。導入途中も含めると61.6%と6割を超える。しかし内訳を見ると、売上規模が100億円以上の企業では9割が導入済みであるのに対し、同5000万~1億円未満の企業は2割、同5000万円未満の企業は1割と売上規模が小さくなるほど減少する。人手不足や予算不足といった課題を抱える中小企業では、HACCP導入の遅れが顕著であることが分かる。

HACCPは義務化から1年間は猶予期間とされ、2021年6月までは対応していなくても罰則が科されない。とはいえ、営業許可の取得や更新の際に対応の有無が影響する可能性もある。

食品業界にとってHACCP対策は避けて通れない以上、できるだけ簡単かつ安価な方法が求められており、そこで注目が集まっているのがIoTの活用だ。

どの工程のIoT化が可能であり、どんなIoTソリューションを選べばいいのだろうか。

月刊テレコミュニケーション2020年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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