NGN IPv6網活用でVPN強化 ランニングコストを劇的に削減
この一連の流れをトータルで支援するのが、NECプラットフォームズのソリューション群だ。
①のVPN強化については、同社が提供するクラウド型統合管理サービス「NetMeister(ネットマイスター)」のダイナミックDNS機能が貢献する。
教育委員会や学校間のVPNのアクセス回線としては、NTT東西が提供する「フレッツ 光ネクスト」が広く用いられているが、このフレッツ 光ネクストで最近よく耳にするのが輻輳による速度低下だ。具体的には、IPv4 PPPoE方式で接続しているユーザーで輻輳が起こりやすくなっている。
この課題はIPv6 IPoE方式を使うことで解決できるのだが、VPNで利用するためにはもう1つクリアしなければならない課題がある。フレッツ 光ネクストの無料オプション「フレッツ・v6オプション」を利用するとIPv6アドレスが手に入るが、このアドレスは半固定で、局舎の整備や機器の交換で変更される可能性があることだ。
そこでNetMeisterが活躍する。ダイナミックDNS機能により、IPv6アドレスが変更された場合でもDNS情報が自動更新されるので、各拠点に置いたルータ間で継続してVPN通信が行えるのだ。月額料金が必要なVPNサービスや広域イーサネットを契約する必要なく、フレッツ光回線の利用料とVPNルータのみで高速なVPNを構築できることになる(図表1)。
図表1 NGN IPv6網によるVPN構築のイメージ
「実は早い自治体では、NetMeisterを活用したNGN IPv6網によるVPN運用が始まっており、ベストエフォートながら常時100Mbpsを超える速度を期待できる。数多くの事例があるので自信を持って提案している」と大西氏は語る。
②のWAN外へのインターネット通信についても、同じくIPv6 IPoE方式を利用すれば高速化が実現する。また、文部科学省が開放を検討している学術用高速ネットワーク「SINET5」へもNGN IPv6網を利用した接続が可能な見込みだという。
安価で強力な小型ルータ “公平に通信”する無線LAN AP
このIPv6とダイナミックDNSを活用したVPNを構築するためにはNetMeister対応機器が必要になる。その中でも好評なのが、低コストで小型のハイパフォーマンスルータ「UNIVERGE IX2106」だ。
「月額でかかるVPNサービスや広域イーサネットのランニングコストを考えれば、IX2106を購入していただいた方がはるかに低コスト。数年で元が取れる」(大西氏)。しかも、校内に設置するルータについてはGIGAスクール構想の補助金対象となり、費用の2分の1が補助される想定だという(文部科学省初等中等教育局「令和2年度概算要求主要事項」時点)。
また、③の無線LAN機器整備に最適なのが、無線LANアクセスポイント「NA1500A」だ。4×4MIMOに対応しており、「文教など多数台が一気に接続する場面に着目して作った製品で、現時点ではおそらく最高クラスの安定した通信が期待できる」(同氏)。
注目すべきは、多数台が一斉に接続した際、公平な通信を実現する点だ。営業事業本部 営業推進本部 オフィス営業推進部 マネージャーの坂口智之氏は、「学校においては、“公平な通信”が非常に高いレベルで求められる。例えば授業中、通信の問題で生徒の1人だけ問題が表示されないとか回答の送信が遅いとなると、そこで授業が止まってしまう。滞りなく授業を進められるように、その点に関しては非常に注意を払っている」と言う。
NECプラットフォームズ 営業事業本部 営業推進本部 オフィス営業推進部 マネージャー 坂口智之氏(左)、同部 マネージャー 小林久幸氏
同マネージャーの小林久幸氏も、NA1500Aの性能に自信を見せる。「公平に通信するという観点はもちろん他社も気にしているが、我々は他社の製品も全てベンチマークテストをしている。また、実際に疑似教室を用意し、タブレットを40台以上並べて動画配信や学習支援ソフトを操作する検証も行った。それらを踏まえて設計し、様々なノウハウを使ってチューニングしているので、他社に負けない製品になっている」