クラウドとエッジの距離が縮まるエッジデバイス上で高度なAI処理を実現する秘訣は、低消費電力とパフォーマンスを両立させることにある。クアルコムは「モバイル向けで培ったパワーマネジメントや省電力化の仕組みを活かす」ことで、エッジデバイスの知能化を推し進めている。
加えて、チップセット内にCPU、GPU、Hexagon DSPといった複数種のユニットを搭載してAI処理の性能を高めている。GPUやDSPは、大量の画像を解析するなどの並列処理を得意とする。順次処理のCPUと比べて機械学習や深層学習に適しており、得意分野に応じて各ユニットを使い分けることで、AI処理を最適化できるという。
こうした技術開発に加えて、今後は5GがエッジAIの高度化を後押しすると泉氏は話す。「セルラー通信が高速大容量かつ低遅延になり、キャパシティも増大することで、学習に必要な情報をクラウドに集めやすくなるし、学習モデルをエッジに反映することも容易になる」からだ。エッジとクラウドの距離が近づくことで、「より協調性の高いクラウドとエッジ処理ができるようになり、新しいサービスが生み出される」と展望する。