「業種を超えたコラボレーションを実現しながら、新しいビジネスをクリエーションしていこう」
シスコシステムズ代表執行役員会長の鈴木和洋氏は、Cisco Innovation Hub(イノベーションハブ)の開設に当たり、そう抱負を述べた。この拠点の目的は、新事業の共創とエコシステムの構築、そして、未来の宇宙ビジネスを担う人材育成にあるという。「宇宙ビジネスは、現在においては1つの可能性に過ぎないかもしれないが、パートナーとともに新しいテクノロジの開発、新しい人材の育成に取り組んでいきたい。シスコにとっても大変重要な位置づけになる」と話した。
当初はJAXA、Space BD、さくらインターネット、VAIO、三井不動産などで活動を始める
今回開設したイノベーションハブは、シスコが東京をはじめ世界で14拠点で運営している「Cisco Innvation Center(イノベーションセンター)の新たな拠点となる。その役割について、イノベーションセンターのセンター長を務める今井俊宏氏は次のように述べた。
「イノベーションセンターでは、製造業や公共、スマートシティといったインフラを作る活動をしてきた。セグメントが固定化されたなかでソリューション開発等を進めてきた」とこれまでの活動を振り返ったうえで、イノベーションハブは、そうした活動をさらに発展させるために「他業種との連携」を主眼としているという。
また、新たな市場機会との接点を設ける狙いもある。「イノベーションハブで新たな方々と事業を行うことで、新マーケットへの参入を目指している」と同氏。そこで得られた知見などは、イノベーションセンターの活動にもフィードバックする。
シスコシステムズ 代表執行役員会長 鈴木和洋氏(左)と
イノベーションセンター センター長の今井俊宏氏
イノベーションハブを開設したX-NIHONBASHIで共に活動するのは国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、超小型衛星打ち上げサービス等を手がけるSpace BD、衛星データプラットフォーム「Tellus」を運用するさくらインターネット、VAIO、三井不動産など。
具体的な活動としては、次の2つを進める。
衛星データを活用したビジネスアイデアの発掘、サービス化に取り組む
1つは、様々な企業等の参加を募り、新サービス/ソリューション開発を行うための「イノベーションチャレンジ」だ。衛星データを活用した新ビジネスなどの創出を狙い、2019年夏頃にアイデアハッカソンを実施。発掘したアイデアをプロジェクト化、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「サービス化/ショーケース化を行い、将来のビジネスにつなげていく」(今井氏)考えだ。
2つめは、人材育成の取り組みである。
宇宙ビジネスに携わる次世代の人材育成にも取り組む
パートナーであるVAIOなどが持つ宇宙教育コンテンツを活用して、主に学生を対象にイノベーションハブでのオンサイト教育を実施。さらに、Cisco WebEx TeamsやWebEx Boardなどを活用した遠隔学習の仕組み「デジタルラーニングプラットフォーム」を活用して、距離や時間の制約がない学びとつながりの場を提供するという。