M2Mに挑戦する異業種企業(後編)――溶接機にM2M適用で狙う“一石三鳥”

通信業界以外の異業種企業において、M2Mの活用により自社の競争力を向上させようという取り組みが進んでいる。最終回の今回取り上げるのは、M2Mで“一石三鳥”を狙う溶接機メーカーのヤシマの例だ。

ユーザーの利便性を高め、同時にメンテナンス作業の効率化を図る。そして、M2Mサービスという新規事業を立ち上げる。そんな一石三鳥の目的を持ってM2Mに取り組んでいるのは、自動車車体整備事業者を主な顧客とする溶接機メーカーのヤシマだ。

M2Mに取り組む発端は、ロット単位で溶接機に不良が生じ、多大な損失を被ったことだった。その不良とは、最初は軽微な破損から始まって、最後は溶接機を司る部品が壊れるというもので、その間は2~3カ月。遠隔から溶接機の状態をモニタリングする仕組みがあれば、初期段階で故障の予兆をキャッチでき、溶接機に重大な障害が起きる前に対策を打つことが可能だった。損害額は部品代だけで2000万円に達したという。

また当然、顧客にも迷惑をかけてしまった。ヤシマでは、故障した溶接機の修理期間、顧客に代替機を提供するという手厚いアフターサポート体制を敷いている。しかし、「このときは端から壊れていったために代替機が足らず、お客様の溶接作業をストップさせてしまった」と常務取締役の吉野一氏は明かす。

自社製品の遠隔モニタリングの必要性を痛感したヤシマは、M2Mの導入を決断。そして今年5月、通信アダプタを搭載した溶接機の試作機が完成した。

通信アダプタを搭載した溶接機の試作機
通信アダプタを搭載した溶接機の試作機

月刊テレコミュニケーション2010年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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