――Coltテクノロジーサービス(以下、Colt)について紹介していただけますか。
グリブナー Coltはロンドンの通信事業者として1992年に設立されました。創業時の社名はCity of London Telecommunicationsで、これを略して現在、Coltという社名になっているわけですね。
Coltは当初、金融業界に対して、通信サービスを展開していました。しかしその後、我々の顧客は金融業界にとどまらず、あらゆる業界へ広がっています。
また、他の通信事業者へのホールセール(卸売)も重要なビジネスになっています。
サービスを展開するエリアについても拡大してきました。ロンドンから始まり、現在ではヨーロッパの主要な市場にまたがっており、さらに今ではアジア市場や北米市場にも展開しています。
英Colt Technology Services CEO カール・グリブナー氏
――Coltは、日本をベースに通信事業を展開していたKVHを2014年に買収・統合。これを機にアジア市場へ本格進出しましたが、そもそもColtとKVHは共にフィデリティ・インベストメンツを親会社に持つ兄弟会社でした。
グリブナー アジアの企業はヨーロッパに進出しており、ヨーロッパの企業はアジアに進出しているわけですから、アジアとヨーロッパの事業を統合するというのは、非常に理にかなったことでした。
日置 KVH時代は、日本でのビジネスが中心で、加えて香港やシンガポールへの長距離ネットワークも提供するという形でした。
しかし、Coltとの統合により、グローバルで事業を展開されているお客様に対して、より高い付加価値を提供可能になりました。北米でもサービスをローンチしており、Colt1社の光ファイバーでお客様のビジネスを支えることができます。
Coltテクノロジーサービス 代表取締役社長 アジアCCO 兼 アジア代表 日置健二氏
――北米では、いつからサービスを開始したのですか。
グリブナー 2018年6月にスタートしました。シアトル、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、トロントなど、北米の主要13都市を接続するネットワークをColt自身の設備で運営しています。
――統合効果もあって、業績は堅調に伸びてそうですね。
グリブナー ええ、Coltのビジネスは大変好調です。
新規顧客も順調に獲得できています。アジア地域(日本、香港、シンガポール、韓国)について言うと、現在の顧客数は2700社以上で、数年間で2割以上増加しました。
新規顧客は、金融業界に限らず、幅広い業種から獲得できています。アジア、ヨーロッパ、そして北米にまたがってビジネスを行っているグローバル企業などが、我々の新たな顧客となっています。
日置 日本について言いますと、ご存知の通り、KVH時代は大半のお客様が金融業界でした。しかし現在は違います。
実は先日、我々の現在のお客様のポートフォリオをきちんと見直してみたのですが、金融、エンタープライズ、そしてホールセール系のお客様がちょうど3分の1ずつくらいでした。
金融のお客様がシュリンクしたわけではありません。Colt全体のパイが大きくなるにつれて、バランスが良くなったのです。