電波を透過する際にその方向を制御する薄い膜状のデバイスを窓ガラス等に貼り付けて、狙った方向へと電波を曲げたり集めたりする――。これにより、5G/6Gで使われる高周波数帯の活用範囲を広げるための技術が、「透過型メタサーフェス」だ。
NTTは2026年3月27日、これを実用化へと近づける「世界最薄」の液晶層・透過型メタサーフェスを開発したと発表した。
NTT先端集積デバイス研究所 光電子融合研究部 主任研究員の来山大祐氏によれば、一般的な液晶ディスプレイと同等の厚みにできることから、その製造プロセスを応用して「大面積化が容易になる」こと、そして「制御動作が早くなる」ことをメリットに挙げた。
6G周波数「サブテラヘルツ」「FR3」の不感地帯をなくす
そもそも、メタサーフェス技術はなぜ必要なのか。
5Gですでに使われているミリ波(28GHz帯)、6Gでの導入が予想されているサブテラヘルツ波(100~300GHz帯)やFR3(7~24GHz帯)は、従来周波数に比べて電波の回り込みが弱く、遮蔽物の影響を受けやすい。

液晶層透過型メタサーフェス開発の背景
特に厄介なのが、屋外基地局からの電波を使ってビル等の施設内を電波エリア化するケースだ。LTE周波数や5G Sub6(6GHz帯以下)は、屋外からの電波が窓を通り抜けたあとに室内で広がるため不感地帯ができにくいが(上図表の左下)、高周波数帯の場合は窓を通過したあとに直進するため、隣の図のように不感地帯ができてしまう。
透過型メタサーフェスは、この窓に設置して電波の透過方向を制御し、室内の広いエリアへ電波を届けるのに使う。また、反対に、ビル内基地局の電波が窓から外へ出る際にその方向を曲げ、真下の不感地帯に電波を届けるといったことにも使える。













