シリコンバレーの戦い方に学ぶ – 日本企業が理解しない“勝利の方程式”

シリコンバレー企業の戦い方から、日本が学ぶべきことは何か――。私のNECアメリカ時代の元部下で、シリコンバレーでの起業経験と成功体験をもつ2人の友人と議論した。

アキオ やあ、ナビル!早かったね。調子はどうだい?

ナビル すこぶる快適だよ。昨日はサンタクルーズ地区でワインの品評会があって、私のワインが銀賞を獲ったんだ。去年、アキオにプレゼントしたワインだ。今日も1本持ってきたよ。ワインの製造はアウトソーシングしているんだが、そのマイスターが素晴らしいんだ。彼が造ったワインが上位3賞を独占したよ。畑を買ったのは私だが、ブドウの木を選ぶ、栽培する、土を管理するなどの作業はすべてアウトソーシングしている。シリコンバレー流だね。

ジャック やあ、待たせたね。

アキオ ハイ、ジャック!さて、今日はシリコンバレー流のビジネスの伸ばし方について話そうか。

マーケティングがすべてアキオ 私は「Marketing is everything」といろいろな機会に話してきた。ナビルも20年前から、そう言っているよね。

ところが、日本のベンチャーキャピタル(VC)などは、今でも製品開発にしか投資をしないケースが多いんだ。良い製品を開発できれば、製品は自然に売れると思っているみたいなんだよ。開発に25%、マーケティング&セールスに65%、管理に10%の資金を投資し続けないと、製品は売れていかないという一番簡単な方程式が、日本では理解されていないんだ。

ジャック オープンシステムについては理解されているのかい?

シリコンバレーでは、APIやSDKは当たり前。いかに世界中の企業・技術者の力を借りて、製品を改良し、全世界にファンを作り、マーケットをリードするかを日夜考えている。もしかして日本では、一から十まで自社で開発しようとしているのかな?

アキオ 日本でもオープンなエコシステムの重要性を語る企業は増えているよ。ただ、本当に実践できているかまでは分からないな。

シリコンバレーでは、キラーアプリとプラットフォームまでが自社開発。あとはユーザーやシステムインテグレート企業、サードパーティのアプリ開発会社などに委ねる仕掛けが当たり前になってきているよね。

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坂本明男(さかもと・あきお)

茨城県つくば市生まれ。NECでは事業部長までの職務を歴任し、数百億円以上の収益を生み出す事業を立ち上げて貢献。1987年、NECアメリカでGMとして活躍後、シリコンバレーで起業家として自立。96年にHolonTech社、2001年にAuraline社、02年にIPLocks社を創業、CEOとして経営してM&Aでエグジットした。著書に『カッコよく生きてあなたの給料を3倍にする法』(ベスト新書)

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