日本は“働き方改革の後進国”―― IDC Japanがアジア諸国との比較結果を発表

こんな状況で日本企業は大丈夫なのか――。働き方改革について、思わずため息をつきたくなるような分析結果がIDC Japanから発表された。アジア太平洋地域13カ国の企業を対象に、ITを活用した職場変革に関する認識と実施状況を調査。日本企業が大きく遅れを取っている現状が明らかとなった。

最新テクノロジーの導入にも消極的

下は、アプリケーション/ソフトウェアの導入率を示したものだ。モバイルやクラウド関連のアプリケーションについては日本とAPeJでそれほど差が見られなかったが、SlackやMicrosft Teams等のコラボレーションツール、RPA、ビッグデータ/BI、Amazon Alexa等の音声インターフェースといった分野は、日本では展開が進んでいないことがわかる。


比較結果:アプリケーション/ソフトウェアの導入率

最新ハードウェアその他についても同様だ。下の通り、ウェアラブル端末、ソフトウェアデファインド技術、デジタルマーケティングなど多くの分野で遅れをとっている。


比較結果:ハードウェアその他の導入率

さらに、今後1年から1年半の導入予定について尋ねた結果についても、「すべての項目において日本はAPeJに比べて消極的」(市川氏)だった。

阻害要因はIT人材不足だが「対策も進んでいない」

なぜ、これほどまでに遅れているのか。テクノロジーを用いた職場変革を阻害する要因について尋ねた結果、日本では「スキルを持った人材の不足」が1位となった。APeJの回答に比べて、テクノロジーに関する理解や認識、スキルの不足を指摘する回答が目立つ結果となった。


比較結果:人材不足

デジタルスキルと市場に関する知見を持った人材が不足していると感じている企業の割合は、日本では約半数に及ぶ。これを解消するためには、人材の育成あるいは外部リソースの活用が不可欠だが、下の回答結果を見る限り、その対策も日本企業では進んでいないようだ。「日本でも人材のアウトソーシングを行うプラットフォームが出てきており、それを使って働くミレニアル世代も増えているが、日本では企業側に活用する意識が低い」(市川氏)。


比較結果:人材不足の解決方法

こうした現状を打開するためには、デジタルスキルを備えた人材の育成が急務であり、「抜本的な方策として、社内トレーニングプログラムの立ち上げと充実が望まれる」と同氏は強調した。

根本的な原因として、働き方改革の最終目標を「競争優位性の獲得」に置き、そのための具体的方策として企業風土・文化の改革やテクノロジーの活用を進めていくことの必要性が認識されていないと指摘。「IT人材の不足が、最終的には企業の競争優位性を創出するうえで阻害要因になることを啓蒙、啓発する必要がある」と話した。

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