「工場の無線化は海外でも数%程度しか進んでいないと言われ、大きなビジネスチャンスがある」
富士通は、産業向けの新無線LANシステム「WLAN-Advanced」(仮称)の販売を今秋から開始する。その開発に携わる富士通の技術開発子会社、モバイルテクノでプリンシパル・エキスパートを務める加藤俊雄氏は、こう期待を語る。
(右から)モバイルテクノ ソリューション事業部 プリンシパル・エキスパート 加藤俊雄氏、
富士通 ネットワークプロダクト事業本部 ワイヤレスシステム事業部 シニアマネージャー 西川卓朗氏
IoTの普及に伴い、様々な分野で無線ネットワークが導入されるようになってきた。しかし、工場の製造ラインや建設現場などでは、無線LANはあまり使われていない。オフィスや家庭とは異なる、高い要求条件があるためだ。
富士通が今回投入するWLAN-Advancedは、IEEE802.11nのMAC層に独自のプロトコルを実装。携帯電話のような集中制御方式を採用することで、工場や建設現場などのニーズに応えられるようにした無線LAN技術だ。
WLAN-Advancedは、大きく4つのコンポーネントで構成されている(図表)。
図表 工場におけるWLAN-Advancedの導入イメージ
1つは、産業機器やPCなどを無線LANに接続する端末装置「エッジアダプター」だ。
WLAN-Advancedはマルチホップ通信に対応しており、アクセスポイント(AP)としては、有線ネットワークとの接続点となる「ゲートウェイルーター」と、中継機能を持つ「マルチホップルーター」の2種類を用意している。
エッジアダプターと2種類のAPは、いずれも通常の無線LAN APのソフトウェアを変更する形で製品化される。
WLAN-Advancedのゲートウェイルーター、マルチホップルーター、
端末装置(エッジアダプター)のベースとして使われる無線LANアクセスポイント装置
4つめのコンポーネントは、PC上で稼働するソフトウェアである「Network AI Manager」だ。各APが取得した周辺の無線LAN機器の電波強度(RSSI)などの情報を集約し、これに基づき無線リソースの最適制御を行う。