<連載>次世代ネットワーク監視「Telemetry」徹底解説(第2回)Telemetryの使い方[初級編]

本連載では、ネットワークインフラの監視における「次世代SNMP」の位置づけとして注目を集める「Telemetry」(テレメトリ)について、具体的な使い方も交えながら3回にわたって解説します。今回は、各社ネットワーク機器のTelemetry対応状況や入門的な使い方を紹介します。

Telemetry環境の構築例それではTelemetry環境を構築します。今回はルーターのInterface情報をOpenConfigモデルで取得することをゴールとして、Cisco IOS XRv 9000とcisco/bigmuddy-networktelemetry-pipelineの組み合わせで構築します。

まず、ルーターでTelemetry機能を有効化します。必要となる設定として、

Step1:gRPCのセッション終端用のポート指定

Step2:センサーグループの指定(発信対象となるカウンターの指定)

Step3:発信間隔の指定が必要です(図表7)。

図表7 ルーターの設定例
図表7 ルーターの設定例

次にTelemetryコレクターの構築に移ります。今回は「TelemetryデータをgRPCで取得して、コレクター内部にテキストとして出力する」という最低限の設定で構築します。図表8がその設定例です。

Step1:GitHubに公開されているレポジトリを取得し、dockerフォルダへ移動します。

Step2:pipeline.confを編集してコレクターの設定を行います。Transport、Encoding、Router IP Address、Subscribe情報等を環境に合わせて設定します。

Step3:作成した設定内容にてコンテナを構築します。

Step4:作成したコンテナを起動します。

今回はマイクロサービス的な発想からコンテナで構築していますが、ローカルで構築することも可能です。

図表8 Telemetryコレクターの設定例:cisco/bigmuddy-network-telemetry-pipeline[画像をクリックで拡大]
図表8 Telemetryコレクターの設定例:cisco/bigmuddy-network-telemetry-pipeline

取得Telemetryデータの確認取得したTelemetryデータを確認します。

ルーターからは、gRPCセッションの状態や取得データ(Sensor Path)の情報が確認できます。図表9は一例ですが、gRPCセッション情報をはじめ、最後に送信した時刻や各種設定した内容の再確認が可能です。

図表9 ルーターでの確認例
図表9 ルーターでの確認例

Telemetryコレクターで取得したTelemetryデータが図表10です。

今回の構築環境では、取得したTelemetryデータはコレクター内部に保存されるため、起動中のコンテナへ接続し、保存されたTelemetryデータを参照します。

意図したようにルーターのInterface情報をOpenConfig Dataモデルで取得できていることが解ります。

図表10 Telemetryコレクターからの確認例
図表10 Telemetryコレクターからの確認例

今回は、各社機器のTelemetry実装状況やTelemetry環境の構築方法を紹介しました。ご紹介した内容は範囲を絞ったものではありますが、読者の皆様の「Telemetry初めの一歩」に役立つものであれば幸いです。

次回はTelemetryの使い方(実践編)と題して、外部システム連携による「ネットワークインフラの可視化」や「ビッグデータ解析による予兆検知」等をご紹介します。

月刊テレコミュニケーション2018年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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