切り口は業務効率化
使用量を計測し、削減目標を設定し、監視を続け、無駄を見つけては潰していく――。省エネ対策とは、ノウハウのない、飛び切り手間のかかる業務だ。BX-Officeはそれを自動化する業務効率化ツールである。
図表 「BX-Office」の利用イメージ |
では、BX-Officeでどのような提案が可能になるのか。
BX-Officeのユニークな点は、これまで系統別に――さらには製造メーカーごとに――独自プロトコルで監視・制御していた照明や空調などの設備をIPネットワークで統合管理できることだ。シスコシステムズのサービス統合型ルーター「Cisco ISR 2811」にソフトウェアを搭載し、ルーターのシリアルポートに接続した設備機器の使用電力を自動計測。PCからイーサネット経由でアクセスすれば、設備ごと、フロアごと、部屋ごとに「いつ、どこで、どれだけ」使われているのかをブラウザ上で監視し、1時間ごとの使用量をグラフ化できる(画面1)。
【画面1】1時間おきに使用電力を計測し、ログを保存・集計。多彩なブラフ表示パターンが用意されており、場所や期間などの項目を選ぶだけでグラフを表示できる |
これにより計測を自動化かつ詳細化し、エネルギー管理士などの専門家のみならず、社員が誰でも自分のPC上で使用状況をチェックできるようになる。休日や夜間の消し忘れも容易に見つけられるし、それを改善することでどれだけの効果が得られるかも予測できる。
この「どこを削ればいいのか」が誰でも見れるのが、BX-Officeの第1の利点だ。もちろん、省エネの徹底のために各部署を指導する――部屋ごとに日時別の使用量データが提示できる――うえでも大きな助けになるはずだ。
ブラウザから空調・照明を制御
計測・監視の自動化により、無駄の発見を効率化した後、省エネ対策は次のステップに移る。BX-Officeの本領はここからだ。
BX-Officeはルーターを介して、機器・設備やセンサーと、施設予約やグループウェアなどのアプリケーションを連携させることができる。例えば、照明・空調の稼動状況と、会議室の利用スケジュール、そして人感センサーによる実際の人の有無の3つを照らし合わせて、画面2のようにマッピングすることができる。
【画面2】スケジューラーの予定データと人感センサーの反応、照明・空調の稼働状況の3つを組み合わせてマッピング。無駄がすぐに発見できる |
これにより、見回りをせずとも自動的に無駄が発見できる。人がいない(退出後あるいは予約がない)のにも関わらず空調・照明がついている部屋が一目瞭然となり、また電力だけでなく、予約したが実際には使われていないなどの「会議室の無駄」を炙り出し、スペースの有効活用にも貢献できる。
さらに、パナソニック電工のフル2線リモコンを介して照明・空調設備の制御も可能だ。ブラウザ上のドラッグ&ドロップ操作で、画面3のようにフロアや部屋ごとに設備のマップを作り、複数の照明をグルーピングすることもできる。
【画面3】スキャンしたフロア図などを元にレイアウトを作成。ブラウザ上で照明や空調のアイコンをフロア図にドラッグ&ドロップして作れる。照明のグルーピングも可能。PCの操作に慣れた人ならば、管理者自身で設定したり変更したりできる |
ON/OFFはもちろん、例えば、昼休みに半分の照明を落とす、会議開始の10分前に空調をONにする、予定終了時間前に会議が終わって人が退出したら照明と空調を切る、といったタイマー設定も可能だ(画面4)。なお、ユビテックでは、ユーザー企業の要望に合わせて、他の設備メーカーへの対応も進めていく方針だ。
【画面4】「1Fフロア全消灯」「1Fオフィスを1列おきに消灯」など、ブラウザ上でプリセットが作れる。実行時間のタイマー設定も可能だ |