社員のコラボレーション(協働)を促進するユニファイドコミュニケーションは、業務パフォーマンスの向上にどれだけの効果を上げているのか――。
ベライゾン ビジネスは2009年10月、ユニファイドコミュニケーション/コラボレーション(UC&C)の投資効果を分析した調査結果を発表した。
「Meetings Around the WorldⅡ」(MAW II)とタイトルが付けられたこの調査は、ベライゾンとシスコシステムズの委託により米国の調査会社フロスト&サリバンが行ったものだ。北米・欧州・アジアの10カ国において民間企業や政府機関に勤める管理職およびITの意志決定者3662名を対象に実施。2006年に前回調査(フロスト&サリバン、ベライゾン、マイクロソフトの3社で実施:MAW I)を行っているが、今回は調査対象を拡大するとともに、UC&Cツールの導入効果の「数値化」に取り組んだという点で、画期的なレポートとなっている。
UC&Cツールを導入を検討する企業や提案するするベンダーにとって、「効果の定量化」こそは積年の課題だ。測定・分析の方法と結果、そして日本企業に見られる特徴について見ていくことにしよう。
UC&Cの効果を数値化
UC&Cの効果を測定するには、いくつかのアプローチが考えられる。例えば、「電話を掛けたがつかまらない」「メールの返答を待つ間、業務が停止する」などのコミュニケーションロスに着目し、その時間の短縮効果を計る、あるいは電話・テレビ会議の導入により削減できた移動・出張費の金額で示すといった手法がこれまで行われてきた。
MAW IIが特徴的なのは、こうした直接的な経費削減効果に留まらず、間接的な効果も含めて業務のパフォーマンス向上への影響を広範囲に調査している点にある。
その指標としてMAWⅡでは、「コラボレーション利益率」(Return on Collaboration:ROC)という新たな指標を案出している。UC&Cツールへの投資に対して得られた見返り、研究・開発などの重要な業務のパフォーマンスがどの程度向上したかを数値化しようというものだ。
具体的には、次のような手順で測定されている。
ある企業がUC&Cツールを導入した場合、それに伴う全投資金額を把握し、これをベースとして業務の改善度を補足する。算式の形にすれば、図表1の下部のようになる。
図表1 Meetings Around the World II(MAW II)とは |
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