5Gが可能にする“ちょっと先”の未来とは?――ドコモが5Gイベントを開催

NTTドコモは、最新の研究成果を紹介するイベント「見えてきた、“ちょっと先”の未来~5Gが創る未来のライフスタイル~」と「DOCOMO R&D Open House 2017」を11月9日~11日まで、日本科学未来館(東京・お台場)で開催している。一般公開に先立ち、11月8日に行われたプレス向けツアーに参加した。“ちょっと先”まで迫ってきた5Gの研究開発は、どこまで進んだのだろうか。

「基本的には、世界中で2020年までに5Gを商用化すると明確に宣言されている。少し前は日本と韓国がかなりアグレッシブだったが、今は世界中だ」。プレス向けツアーの冒頭、このように5Gの最新動向を紹介したのは、NTTドコモ 5G推進室長の中村武宏氏。標準化作業についても「非常にスピーディに進んでいる」という。

NTTドコモ 5G推進室長 中村武宏氏
NTTドコモ 5G推進室長 中村武宏氏

また、5Gの商用化にあたっては、周波数の問題も重要だが、こちらも「非常にいい感じになっている」と中村氏。そして、「写真を撮っておいた方がいいですよ」と記者たちに促したのが以下のスライドだ。

日本にとって良い方向に進んでいる世界の5G向け周波数動向
日本にとって良い方向に進んでいる世界の5G向け周波数動向

日本では、3.6GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯が5G用の周波数候補として挙がっているが、世界的に「大体このへんでまとまりそうになっている」。日本において広帯域が確保できる可能性がある3.8~4.2GHzについても米国、日本の独自帯域となる可能性があった4.5GHz帯についても中国という「世界のメジャーな国で一緒に使われる可能性が出てきた」という。

ネットワークスライシングで企業ネットワークをオンデマンド提供展示スペースでは、5GやIoT、AIなどに関する最新技術や、そのユースケースなどが多数紹介されている。

5Gでは、eMBB(超高速)、超高信頼・低遅延(URLLC)、超大量接続(mMTC)の3種類にユースケースがカテゴライズされており、5Gのスタート時点でまず最優先されるのはeMBBだが、URLLCに関する研究開発も着実に進んでいる。

3GPPは、URLLCの要求条件として、片道0.5msの低遅延、32バイト以上のパケットデータ量の99.999%以上の送信成功率を定めている。ドコモはファーウェイと共同で行った実証実験において、世界初、この条件を満たす屋外実験に成功しているが、会場ではこのURLLC通信を活用したデモが行われていた。

振り子をモバイル通信で遠隔自動制御するデモで、遅延時間の大きいLTEによる制御では振り子を安定(静止)させるのに大分時間がかかる。しかし、5Gでは、静止までの時間がかなり短縮。さらに、振り子の上に紙を乗せても、低遅延通信により、紙を落とさず迅速に制御できる様を披露した。

振り子の制御のデモの様子
振り子の制御のデモの様子。右下に見えるように、紙を載せても、5Gで迅速に振り子を制御し、紙は落ちない。
左上のディスプレイに表示されている数字は、振り子の安定(静止)までにかかった時間を4Gと5Gで比較したもの

5G時代においては、コアネットワークも変革していくが、中でも注目度が高いのがネットワークスライシング技術だ。これを活用し、サーバーリソースから帯域が保証された専用ネットワークまでをエンドツーエンドで、企業向けにオンデマンド提供するデモも行われた。サーバーリソースは、全国各地に分散配置された、いわゆるエッジコンピューティング環境を想定。企業ネットワークからサーバーまでを丸ごと提供する。

ネットワークスライシングを利用し、サーバーからネットワークまでを企業にオンデマンド提供
ネットワークスライシングを利用し、サーバーからネットワークまでを企業にオンデマンド提供

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