アマゾン、ニトリ、アスクルはここまで進化各社の最新の物流センターの状況は以下のとおりです。
●アマゾン
全米で3万台以上も導入しているロボットを、日本でも川崎の物流センターで使い始めています。
このロボットは、ルンバなどの掃除ロボットを大きくしたイメージで、必要な商品を保管してあるラックの下に潜り込み、ラックごと作業員の待つピッキングスペースに運んでいきます。つまり、作業員は定点作業が可能になります。
このロボットはセンター内の床に貼られているバーコードを読み、自分の位置を把握します。また、他のロボットと衝突しないよう、AIを利用した回避機能が搭載されています。
さらに、よく利用されるラックは、作業員のいるピッキングスペース近くに配置するなど、最適化機能も搭載しています。
●ニトリ
2016年2月、ニトリグループの物流会社の通販センターに、日本で初めて、ロボットストレージシステムが導入されました。ノルウェーの会社が開発した「オートストア」というシステムです。
従来でも、WMSと連動した自動倉庫システムはありましたが、オートストアのポイントは、AIでコントロールされた自律型ロボットが商品の入出庫をすべて行ってしまう点にあります。
具体的には、巨大な立法体の装置の中に、小型コンテナを高密度に積み上げています。その立方体の天井の上を、複数の自律型ロボットが縦横無尽に走行し、必要な商品が入ったコンテナを引き上げます。
引き上げたコンテナは、ロボットにより、ピッキングを担当する作業員がいるコーナーへ運ばれます。つまり、アマゾンと同様、作業員はセンター内を動き回る必要がありません。
さらにオートストアでは、よく使うコンテナは、できるだけ上のほうに積み上げておくように、常にAIが計算を行い、ロボット達は空いた時間に、コンテナの積み替えを行います。
ここでも、アマゾンと同様、最適化技術が使われています。
●アスクル
2016年6月、アスクルは自社の物流センター「ロジパーク首都圏」に、2台のピッキングロボットを導入、センターの全工程で自動化を達成した、と話題になりました(一部工程では手動を併用しており、完全に無人というわけではありません)。
自動倉庫と比べると、ピッキングの方が自動化の難易度は高くなります。特に通販センターのピッキングを完全自動にするためには、多種多様な商品の中から必要な商品を特定し、かつその形状や大きさに合わせてピッキングすることが求められます。さらに、顧客毎のダンボール箱に格納する動作も必要です。
こうしたピッキングを完全自動にするために、アスクルはロボットベンチャー企業のMUJINと提携を行いました。
MUJINのロボット技術のポイントは下記のとおりです。
・画像認識システム:高速高精細に画像を認識し、商品の状況や大きさ、形状を高速かつ正確に3次元で認識
・アーム動作プログラム生成技術:状況に応じた最適なロボットアームの軌道や掴み方を瞬時にプログラムとして生成
アスクルの全自動ピッキングシステム(http://mujin.co.jp/news/jp)
いかがでしょうか。
先進的な企業では、自社の競争力を高めるため、最新のテクノロジーを惜しみなく投入していることが分かります。
ただし、こうした最新のテクノロジーを採用しているセンターは、まだまだ少数派です。実際には、中小企業を中心に、人海戦術で業務を回している物流施設のほうが大多数です。
輸配送やセンター内作業などは、辛くて大変なイメージもありますが、ますます少子高齢化が進む我が国において、特にテクノロジーによる自動化が、強く求められている分野と言えるのではないでしょうか。