「シェアリングエコノミーは所詮、配車アプリ『Uber』や民泊『Airbnb』の話。東京オリンピックに向けて民泊が活性化するらしいけど、自分たちのビジネスには関係ない」。そんな考えでいる企業は2017年、IoTが牽引するシェアリングエコノミーに破壊されてしまうかもしれない。
「IoTが触媒となり、今後さらにシェアリングエコノミーの動きは促進する」。こう述べるのは、アイ・ティ・アール(ITR)代表取締役/プリンシパル・アナリストの内山悟志氏だ。
シェアリングを促進するIoT現在、シェアリングエコノミーというと、多くの人が思い浮かべるのはUberとAirbnbだろう。しかし、シェアリングは今、配車や民泊以外の幅広いジャンルに広がってきている。
「ミール(Meal)シェアリングや衣服のシェアリングをはじめとして、住居、家事、パーキングなど、衣食住からその周辺まで、様々な領域でシェアリングが展開され始めている」。シェアリングエコノミーの現状をこう紹介するのは、シェアリングエコノミー協会で代表理事を務めるガイアックスの代表執行役社長・上田祐司氏だ。
こうした動きをさらに加速させる技術がIoTだ。IoTを活用すれば、様々なモノの状態をリモートからリアルタイムに把握可能になり、もっとシェアしやすくなるためだ。
その一例として、工場のシェアリングがある。これは、IoTでつながった工場の製造情報を多数の企業間で共有し、生産の基本4要素である人・設備・材料・方法を相互に融通し合うというもの(図表)。実際、GEやIBM、日立製作所などが北米で、工場のシェアに向けた議論を進めている。
図表 工場シェアリングのイメージ |
また、内山氏は、「資本や販売網、営業マンの数などでハンデを負っていたベンチャー企業や地方企業にとって、ハンデを払拭する手段にもなる」と語る。例えば、複数のベンチャー企業が集まってシェアリングエコノミーを形成すれば、販売網や営業マン、オフィスの賃料負担などをシェアできる。
シェアリングエコノミーはC2Cの世界にとどまるものではない。B2Bにも広がっていく。