NTT東がロボットサービスを開始、第一弾は「介護支援ロボ」

NTT東日本がロボットサービス事業に乗り出す。“コミュニケーションロボット”向けの各種機能をクラウドから提供するプラットフォームサービス「ロボコネクト」を9月1日から提供開始。第一弾として、ヴイストン社の「Sota」を使った介護事業者支援サービスを始める。

NTT東日本は2016年9月1日から、ロボットプラットフォームサービス「ロボコネクト」の提供を開始する。


“コミュニケーションロボット”の機能をクラウドで提供する

ロボコネクトは、人との会話などを行うことを目的とする“コミュニケーションロボット”を活用して、会話機能やカメラ撮影機能等のアプリケーションサービスをクラウドで提供するサービスだ。ロボットメーカー各社が製造・販売する多様なロボットに対応し、目的や用途に応じた機能を提供する計画。第一弾としてヴイストン社が提供するコミュニケーションロボット「Sota(ソータ)」を使い、介護事業者向けのサービスを始める。


第一弾としてヴイストン社のコミュニケーションロボット「Sota」が対応した。
右はNTT東日本のビジネス開発本部第三部門・未利用層開拓担当課長の菅光介氏

NTT東日本・ビジネス開発本部第三部門で未利用層開拓担当課長を務める菅光介氏は、「ロボットを使ってコミュニケーションの補助を行うことによって、介護現場における課題解決に寄与していきたい」と話した。

業種や用途に応じてアプリケーションをプラス
ロボコネクトが備える機能は次の5つだ。


ロボコネクトの提供イメージ

1つは、ロボットを端末として用い、コミュニケーションする相手の音声をデータとしてクラウドに送って解析・処理を行った結果をロボットが音声で回答する「コミュニケーション機能」。例えば、Sotaに対して「明日の東京の天気は?」と話しかけると、クラウドで結果を返し、Sotaが「明日の天気は雨だよ。ジメジメして僕サビちゃう」などと返答する。

2つ目は、カメラ撮影機能で、Sotaの額にあるカメラで写真を撮影し、クラウドに保存。PCやスマートフォン、タブレット等からブラウザで閲覧したり、メールで送信したりすることが可能だ。

3つ目は、遠隔対話機能。Sotaのカメラとマイクを使って、遠隔地にいる人がSotaの前にいる人と対話できる。遠隔地の人はブラウザ上のWebアプリからテレビ電話をかける要領で使用する。


ロボコネクトの主要な機能

以上のほか「ユーザー管理機能」と「付加アプリ利用許諾機能」を加えた5つを基本機能として提供する。

付加アプリ利用許諾機能とは、前述の基本機能に加えて、特定の業種や利用シーンに応じた付加アプリケーションをロボコネクトからロボットに対して提供するためのものだ。

今回、介護事業者向けには、キューアンドエー社が開発する介護レクリエーション(高齢者施設等で行われる、身体を動かしたりストレスを解消したりするゲームや運動など)用アプリ「Sotaレク」を提供する。

体操や歌、ゲーム、脳トレなど6種類、80超のコンテンツを用意しており、介護スタッフによるレクリエーション進行をSotaが補助したり、あるいはSotaが自動でレクリエーションを進行することも可能という。


介護事業所向けレクリエーション機能を付加アプリケーションとして提供する

NTT東日本は今回のサービス提供に向けて2015年8月から実際の介護施設でトライアルを実施。菅氏によれば、介護レクリエーションの企画、進行が介護士の大きな負担となっているという。また、被介護者の積極性を引き出すことも課題だ。感情移入がしやすい“かわいさ“をもったコミュニケーションロボットと、コンテンツアプリ等を組み合わせることで、介護士の負担軽減、被介護者の積極性向上に貢献していきたいという。

加えて、NTT東日本としては、ロボコネクトによってインターネット利用率が低いシニア層の開拓を進めるのが狙いだ。

インターネット利用率は、13~59歳で90%を超えているものの、60~64歳が81.6%、65~69歳が71.4%、70~79歳が53.5%、80歳以上は20.2%と、60歳以降は徐々に下がっていく現状にある。このシニア層のインターネット利用率を高めるための施策として、活動的な“アクティブシニア層”に対しては、直感的にタブレットを操作できるように、ボタンの大きなインターフェースやオンラインショッピングサイト等への自動ログイン機能等を採用した「かんたんタブレット」サービスを16年6月から提供している。

一方、今回のロボコネクトと介護事業者向けサービスは、介護支援・要介護層に対するインターネット利用促進策と言える。トライアルでは、88%の介護職員が負担軽減を実感し、介護を受ける高齢者も96%が積極性の向上を実感するなど、「一定の効果が見られた」と菅氏。初年度で「250体程度の販売を目標としたい」と話した。


Sotaの販売価格は10万円(税抜)。
色はネイビーブルー、オレンジ、ライトブルーの3色を用意した

ロボコネクトの利用料金は、次の通り(すべて税抜き価格)。

初期費用は、1ユーザー当たり契約料が800円、サーバー登録料(1ライセンス)が1000円。月額利用料(1ライセンス)は3000円。Sotaは1体10万円で、NTT東日本が販売する。

付加アプリケーションサービスである「Sotaレク」は、初期費用(STB本体価格+設置・設定費用)が5万円、年額利用料が1万4400円となっている。

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