NTT、NTTデータ、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモの6社は、NTTグループのAI関連技術「corevo(コレボ)」を用いた実証実験を開始する。NTTグループはこの実証実験を通じ、2016年度下半期以降に新たなロボット関連ビジネスの創出を目指すという。
この合同実証実験におけるNTTグループ各社の役割だが、NTTはcorevo関連技術の提供と技術課題の抽出し、NTTデータは実証実験向けの共通基盤を提供する。NTT東日本、NTT西日本、NTTコム、NTTドコモは、それぞれ各種サービス・ソリューションの実証実験を行う。
corevoを構成する技術は、NTTが研究開発してきた「音声音響処理技術」や「日本語解析技術」、コミュニケーションロボットやセンサーをはじめとする各種デバイスを連携制御するための技術「R-env:連舞」など。こうしたcorevo関連技術は、クラウド上の共通基盤を介して提供される。
NTTデータが提供する共通基盤は、同社がこれまで開発を進めてきた「クラウドロボティクス基盤」がベースになっている。この基盤は、多様なロボットやセンサーを連携させ、収集したデータを統合的に処理する。同社は、これまで高齢者支援や顧客対応支援などの分野でクラウドロボティクス基盤の実証実験を進めており、今回はNTTグループとパートナー企業がビジネストライアルを行いやすい実証実験向けのクラウド共通基盤として提供する。
NTT東日本は、地域復興向けサービスの実証実験を行う。新宿区内の店舗や主要スポットに設置されたコミュニケーションロボットをデジタルサイネージと連携させ、買い物客・観光客向けにイベントや地域案内のサービスを提供。そのほか、新宿区内で提供中の公衆無線LANサービス「Shinjuku Free Wi-Fi」も活用しながら、当該エリアにおける来客数・回遊率の向上効果を検証する。
NTT西日本は、観光案内ソリューションの実証実験を行う。公衆無線LANサービスの構築・運用のサポートを通じて培ってきた自治体などとの関係性を活かし、ロボットやデジタルサイネージのように多言語対応が可能な観光案内用デバイスによる観光案内支援ソリューションを検証する。
NTTコムは、介護施設及び小売店向けサービスの実証実験を行う。介護施設において、機能訓練の一環として行われている音楽や体操などのレクリエーション活動をコミュニケーションロボットに進行させたり、デパート内においてはコミュニケーションロボットがフロア・イベントの案内をさせるなど、その活用範囲の拡大に取り組む。
NTTドコモは、高齢者健康管理支援サービスの実証実験をする。自治体における高齢者福祉(健康増進)サービスを充実させるため、行政による健康指導をサポートするサービスの実験だ。高齢者は、地域拠点に設置された各種測定器やタブレット端末から血液などの健康データを登録し、そのとき高齢者がスムーズに利用できるよう、コミュニケーションロボットが健康データ登録の手順をガイドする。また、雑談対話によるコミュニケーションを通じて、高齢者に継続的に活用される健康管理支援を目指す。