5Gは用途によって“七変化”する――5G PPP議長に聞いた5Gの最前線

工場のスマート化や自動運転、遠隔医療など、多様な用途で期待される5G――。5G PPP(5G Public-Private Partnership Association)のムーア議長は、「用途ごとに異なる要件に対応するため、5Gのシステムの中に“フレキシビリティ”を組み込む」と語る。

モバイル業界を伝統的にリードしてきた欧州における5G研究開発の総本山といえる団体が「5G PPP」だ。

その5G PPPで議長を務めるワーナー・ムーア氏は、「5Gのサービス開始までは3つのフェーズに分けられるが、今は第1段階と第2段階の中間」と語る。第1段階とは初期のリサーチ、第2段階は標準化、そして第3段階は製品化と導入のフェーズを指す。つまり現在は、5Gの具体像が徐々にはっきりしてきた段階にある。

「5Gの要件に“対立”はない」5G PPPが、5Gに関するビジョンを発表したのは1年前の2015年3月のことだ。「主に動画向けの高スループット、IoT向けの低消費電力、自動運転などセーフティのための低遅延の3つがメインのビジョンとなっている」とムーア議長は紹介する。具体的には、10Gb/sの最大通信速度、現行の10分の1の消費電力、5msの遅延時間などの要件が示された(図表1)。

図表1 5G PPPがターゲットとする5Gの要件
図表1 5G PPPがターゲットとする5Gの要件

それから半年後の2015年9月、国際電気通信連合の無線通信部門であるITU-Rも、5G(IMT-2020)の要件を発表した(図表2)。両者を比較してまず気付くのは、最大通信速度の違いだ。ITU-Rでは20Gb/sとなっている。「20Gb/sになったのは、韓国が50Gb/sを主張し、妥協案としてその中間にしたため」だという。また、遅延時間にも違いがあるが、これは5G PPPがエンド・トゥ・エンド(E2E)での遅延時間なのに対し、ITU-Rは無線区間のみの遅延時間であるためだ。

図表2 ITU-Rにおける5G(IMT-2020)の要件
図表2 ITU-Rにおける5G(IMT-2020)の要件

こうした差異は、日本や中国などの5Gビジョンとの間にも見つけることができるが、「重要なのは、各国や各団体の要件が非常に似ているということだ。5Gの要件に関して“対立”はない」とムーア議長は強調する。

月刊テレコミュニケーション2016年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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