通信事業者の期待に応えるこれらの技術とノウハウは、開発コミュニティに対してコントリビューション(貢献)し、オープン化している。なお、最新版の「OpenStack Liberty」ではコントリビューション数が8位(国内では3年連続1位)、OpenStack開発コミュニティ内で各種プロジェクトを運営する“コアデベロッパー”も8人を輩出している。
こうした貢献度の高さもあり、「NECにもOSS構築・運用のポテンシャルがあると認めてもらえるようになった。国内キャリアも含めグローバルですでに二桁のPoC(コンセプト実証)が動いている」という。
OSSを活用することに対する懸念は未だ小さくないものの、このように、オープンな新技術を安く迅速に取り込もうとする通信事業者の意欲は旺盛だ。「それをキャリアグレードでやり切れるベンダーとして市場に入っていくことで、エリクソン、ノキア、ファーウェイに対抗する」と上坂氏は話す。OSSに不足している信頼性・安定性と運用サポートをNECが単一窓口で提供することで競合ベンダーに勝負を挑む戦略だ。
「ハードウェアを主体とした囲い込み型のビジネスをやってきた彼らには、この戦略は打てない」と同氏。オープン化の波に乗って、通信事業者向け事業を拡大していこうとしている。