「医療スタッフ全員に、マンマシンインターフェースになるモバイル機器を持たせたかった」
求めたのは、“どこでも電話がつながる”だけでなく、IMやメールなども活用しながら医療スタッフがコミュニケーションを取り、さらに患者のバイタルデータのアラート通知や診療情報データの閲覧といった、人間と機器との連携をも見据えたモバイル端末。その要件を満たすのがデュアル端末だった。
だが、病院棟の建設計画を進めるジョイントベンチャーの提案は「PHSを使うハイブリッド型など、将来性を考慮していないもの」ばかりだったという。そこで、澤氏は自ら、音声・データ系を統合したIPネットワーク上でデュアル端末を活用するコミュニケーションインフラを企画。当時、06~07年にデュアル端末の事例を相次いで発表していたNECとともにUNIVERGE SV7000を核としたモバイルセントレックスを構築した。
デュアル端末は狙い通り、医療スタッフのモビリティとコミュニケーションの効率化に貢献している。「若手の研修医を中心にIMの使用頻度も高くなっている」という。電話が繋がらない、といった現場からのクレームもない。効果が広く認識されたことを示すように「病院内の意識が変わって、院外でも使いたいという声がでてきた。今、オフィスリンク(NTTドコモのFMCサービス)を導入してはどうかという議論が持ち上がっている」という。
開院からまだ1年弱。ワークスタイル変革への取り組みはまだ端緒に就いたばかりだ。今後は、ITシステムとの連携にも取り組んでいく予定で、澤氏は「現状ではノートPCで行っている診療データの入力・閲覧などをデュアル端末で行えるようにしたい」と展望を語っている。
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