3つのレイヤのソリューションで課題を解決こうした課題に対処し、通信事業者のIoTビジネスをさらに拡大していくためにファーウェイは「1+2+1」という新しいアーキテクチャを開発しました。これは文字通り端末インターフェースで1つ、アクセスのレイヤで2つ、プラットフォームで1つのソリューションによって構成されます。これらはそれぞれ個別に導入できますが、まとめて用いることでスムーズな運用が可能になります。これらの活用で、通信事業者がIoTのバリューチェーンにおいて大きな役割を担うことができるようになると我々は考えているのです。
図表1 ファーウェイがIoT分野で推進する1+2+1アーキテクチャ |
「1+2+1」アーキテクチャの具体的なソリューションを見ていきましょう。まず端末インターフェースのレイヤで当社が力を入れているものに「LiteOS」があります。これにはIoTの通信端末に共通で必要となる通信・管理・セキュリティなどの機能が組み込まれており、開発者はこれらに気を使うことなくイノベーションやアイディアに集中できます。
LiteOSは特別なアルゴリズムを用いて非常に低い消費電力を実現しています。リアルタイム性が高く速いレスポンスが得られることや、10kB以下のメモリで動作する軽いOSであり、端末コストが抑えられることもその大きな特徴です。
加えてLiteOSの大きな利点としてあげられるのが、オープンソースになっていることです。オープンで使い勝手の良いOSの登場でマーケットは大きく広がることになるのではないでしょうか。
図表2 LiteOSの特徴 |
次のアクセスレイヤのソリューションで、当社が今後重要な役割を担うと考えているものに「NB-IoT」という新しい無線通信技術があります。帯域幅を100~200kHzと非常に狭くとったシステムで、既存のLTE/3Gネットワークの隙間部分やGSMの跡地の周波数を活用して導入することができます。消費電力が非常に小さく、ビルの奥や地中に埋めたセンサーやスマートメーター類とも通信ができる強力なカバレッジも持っています。
すでにボーダフォンがこのシステムを提案することでイギリスのエネルギー会社のスマートメーターの案件を受注し、現在最終的なトライアルが進められています。この技術は来年早い時期に3GPPで標準化される見込みです。
図表3 NB-IoTのコンセプト |
IoTの無線アクセス技術では2020年以降に商用化される5Gも重要な役割を果たすことになると見られており、ファーウェイでは日本のNTTドコモとも協力して5Gの研究開発を推進しています。
もう1つ、アクセスのレイヤで力を入れている製品にアジャイル・ゲートウェイ(IoT-GW)があります。これは有線・無線LANなどを介して多くのIoTデバイスを収容し、これらをまとめてブロードバンド回線を介して管理サーバーやクラウドなどと接続するものです。 この製品で重要なのは、個々のIoTデバイスに実装されているさまざまなインターフェースを標準的なIPのインターフェースに変換し、効率的にシステムを構築できる能力を持っていることです。IP54の防塵・防水性や対衝撃性を備えており過酷な環境でも利用できます。先ほどのLiteOSを搭載したセンサー/デバイスの管理機能も持っています。
プラットフォームレイヤでは、「IoTプラットフォーム」の提供に力を入れています。これはIoTで必要となる複雑な処理を背後で実現し、容易にシステムの構築・運用をできるようにするものです。多彩なAPIを搭載し容易にアプリケーションを開発できるようになっているため、タイム・ツー・マーケットの短縮にも貢献します。さらにこれらのAPIを活用してサードパーティとサービスを共同開発する「サービスオーケストレーション」を実現することも可能です。
図表4 IoTに必要な多彩な機能を提供するIoTプラットフォーム |