SDN活用のWANでクラウド時代を駆ける「ゆかり」の三島食品

赤しそを原料にしたふりかけ「ゆかり」で有名な三島食品は今年7月、ネットワークを刷新した。採用したのは、SDN技術を活用したイントラネットサービス「KDDI WVS 2」だ。さらにはWVS 2直結のクラウド基盤「KDDI クラウドプラットフォームサービス」も導入し、クラウド時代への対応を一気に推し進めている。

Webポータル画面でセキュリティ設定をいつでも変更可能にWVS 2の特長としてセキュリティクラウドを紹介したが、その魅力のもう一方、クラウド化されたセキュリティ機能ももちろん活躍している。

インターネットとの接続口をWVS 2に一元化したことに伴い、セキュリティゲートウェイもWVS 2のUTM機能に一元化した。

以前のWVS時代は、紙ベースでKDDIに設定変更を依頼する必要があったが、WVS 2ではそうした手間はいらない。「カスタマーコントローラ」と呼ばれるWebポータルが用意されており、ユーザー自身でリアルタイムに設定変更や機能追加が行える。

「これまで使っていたオンプレミスのUTMと比べても、カスタマーコントローラの設定画面は分かりやすいです。また、以前のオンプレミスのUTMでは、オプションのアナライザーを導入しておらず、トラフィック分析がきちんとできませんでした。しかしWVS 2では、カスタマーコントローラ上でポート番号毎のトラフィック状況を確認できるので、今はそれを踏まえてポートの制御が行えます。このためセキュリティ面での安心感も高まりました」と上垣氏は語る。

カスタマーコントローラ
カスタマーコントローラの画面

ちなみに、カスタマーコントローラは、ネットワークをソフトウェアで集中制御できるSDN(Software-Defined Networking)技術によって実現されている機能だ。WVS 2ではSDNを活用することで、仮想ネットワークの構築やアクセス回線帯域の増減などもカスタマーコントローラから行えるようになっている。

専用線で直結のクラウドだから、社内環境の延長線上で使えるWVS 2の導入によって、ネットワークを2年前倒しで“次世代化”した三島食品が、次に本腰を入れるのはクラウドだ。以前からバックアップサーバーや資産管理サーバーなどをクラウド上で運用してきたが、本格的にクラウドを活用していく。

そのために選んだのは、KDDIのクラウド基盤サービス「KDDI クラウドプラットフォームサービス」(以下、KCPS)である。「やはり、WVS 2と直結でき、社内と同じように使える点が大きかったです」と旭氏は採用理由を語る。

同社ではまず11月下旬から、ファイルサーバーや新しい物流システムをKCPS上で運用していく計画だ。「従来、ファイルサーバーとしてNASを各拠点に設置していたのですが、その管理が非常に大変でした。そこで、NASの代わりとして、KCPS上にファイルサーバーを立て、管理を一元化する予定です」(上垣氏)

KCPS上のファイルサーバーのアクセス権限管理は、オンプレミスで運用するActive Directoryサーバーと連携して行う。まさに、社内環境の延長としてクラウドが使えるのだ。

同社は今後、本社のサーバールームにあるシステムを順次KCPSに移行していきたい考えだが、次の効果も期待している。

「当社の社員数やトラフィック量は、広島本社よりも東京のほうが多いです。しかし、これまでは東京の社員も、広島本社のサーバーまでアクセスする必要があったため、どうしても遅延が多く発生していました。一方、KCPSのデータセンターは東日本と西日本にあります。ですから今後は、もっと高速にアクセスできるようになるはずです」(上垣氏)

三島食品では、社内ファイルサーバーに置いた動画を営業活動に利用しているが、さらに社員研修などにも動画の活用を広げていく方針だという。となると、ネットワークのパフォーマンスは今まで以上に重要になっていくが、WVS 2とKCPSがこれをしっかり支えていくことになりそうだ。

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