iPhoneに学んだ、誰にでも分かりやすいコラボレーション製品また、石黒氏によれば、ワークスタイル変革を本当に成功させるためには、“世代”にも注意が必要だ。
「1980年代に入社された方、1990年代、2000年代、2010年代と、会社にはITリテラシーや価値観が異なる、いろいろな世代の方がいる」
このため、高いITリテラシーが必要なツールを全社員に一斉導入しても、うまくいかないのだ。
会社では4つの世代の社員が共存している |
そこでシスコは、2年半前にコラボレーション製品の開発方針を根本から変えたという。「私たちが一番勉強したのはiPhoneだ。説明書を読まなくても使えるし、そもそもiPhoneには説明書が付いていない。それはなぜか。皆さんが『難しい』と思うことを一瞬で超えるようなエネルギーが、iPhoneの中に詰まっているからだ」
iPhoneに学んだシスコは現在、次の3つのことだけを考え、コラボレーション製品を開発・提供しているという。
まずは「かんたんにつかいやすく」。シスコのコラボレーション製品からは、「どんどんボタンがなくなっている」という。
2つめは「クラウドにつながる」だ。「クラウドの有用性については、皆さんもう十分に理解されていると思う」と石黒氏。
そして3つめは「相互接続性」である。「今まで使っていた資産も無駄にせず、しっかりつなげる。また、これから出てくる新しいものもしっかりつなぐ、ということを大切にしている」
シスコが重視する3つのポイント |
こうした方針のもと開発された現在のシスコのビデオ会議端末(テレプレゼンス)が次のスライドだ。「リモコンもない、ケーブルもほとんど出ていない。インテリアとして会議室などに置いてもらうように色も白にした。そして、全社員が等しく、説明書がなくてもすぐに使うことができる」と石黒氏は強調した。また、この新しいテレプレゼンス製品の投入により、「日本国内のシェアもずいぶんと上がった」という。
シスコのテレプレゼンス
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メール文化から脱却するための新コラボ基盤「Cisco Spark」「メール文化からの脱却! 今の常識を変える新しいワークスタイル像」と題して行われた石黒氏の講演。タイトルにある「メール文化からの脱却」を実現する新しいコラボレーション基盤「Cisco Spark」についても講演では紹介された。
Cisco Sparkは簡単にいうと、コラボレーションのための仮想ルームを提供するクラウドサービスだ。資料共有、チャット、ビデオ会議、電話などにより、複数メンバーでの共同作業をクラウド上で進められる。もちろんマルチデバイスに対応。さらに、社外関係者も容易に共同作業に参加できる点も大きな特徴だ。
Cisco Sparkなら、例えばチャットで相談しながら資料を共同編集。その後、別のメンバーが確認してさらにコメントを加えたりなど、活発なコラボレーションをクラウド上の仮想ルームで行うことができる。
講演では、Cisco Sparkによる共同作業のデモも披露された |
しかもCisco Sparkは、無料で使うことが可能だ。「『うちの社員、ひょっとしたらLINEを使っているな、Skypeを使っているな』という方は多いだろう。しかし、なぜ社員はLINEを使うのか。それは当然フリーだからだ。ですから社内で広言してください。『Cisco Sparkというフリーのツールがあるので、こっちを使ってくれ』と」と石黒氏はアピールした。
アップルとタッグで働き方変革にチャレンジさらに石黒氏は、米国で8月31日に発表されたアップルとの業務提携についても言及した。「皆さんが普段使われているiPhoneとiPad。この2つをうまく使って、働き方を変えるためのチャレンジを一緒にしていく」
例えば、iPhone/iPadのパフォーマンスを最適化するための技術をシスコのネットワーク製品に組み込んだり、WebExなどのシスコのコミュニケーションアプリケーションの技術をiOSに組む込んだり、様々な開発が進んでいるとのことだ。