ドコモが目指す「5G」の2020年商用化に2つの壁

NTTドコモは、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に5Gを商用化する計画だ。しかし実は、ドコモが2020年に5Gを商用化するためには、クリアしなければならない2つの課題がある。

5Gの2020年商用化を目指しているNTTドコモだが、これを実現するうえでまず課題となるのが、5Gの標準化スケジュールである。

ドコモが2020年というターゲットを設定したのは、総務省の電波政策ビジョン懇談会の報告書を受けてのことだが、このタイミングで5Gを商用化しようとしている国は日本と韓国だけだ。

3GPPが現在、想定している5Gの標準化スケジュールは次の通りだ。2019年に固まる「リリース16」の5G仕様をITU-Rに提案し、2020年のITU-Rでの5G標準化に間に合わせるというスケジュールである。

もちろん2019年に規格ができても2020年のサービス開始には間に合わない。そこで、ドコモは2018年に策定される「リリース15」までで規格化された技術を使って、2020年時点のサービスを「5G」として開始。その後「リリース16」ベースの仕様を使った「5G+」に進化させる2段階方式を検討している。

製品開発に余裕を持たせるため、さらに5Gの一部の技術については、「リリース14」で策定を終えてしまいたい意向だ。ドコモは、このスケジュールを今年3月、日本のインフラベンダーとともに3GPPに提起している。5Gを何としても2020年に商用化しようという、ドコモの並々ならぬ熱意が感じられる。


図表 5Gの標準化スケジュール
5Gの標準化スケジュール

ただ、このスケジュールでドコモが5Gの商用化を進めると、2020年にドコモが開始する5Gと、2020年に標準化が完了する「リリース16」の5Gには、様々な違いが生じている可能性がある。もし、その違いが大きい場合、ドコモは「5G+」で大幅な設備改修を余儀なくされることになる。

そこで同社は「5G」の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)は、現在のLTEベースの技術を大きく変えずに、これに将来の「5G+」への進化に対応できるよう作り込みを行う程度にとどめる考えのようだ。基本的にはキャリアアグリゲーションの拡張による超広帯域化とマッシブMIMOなどのアンテナ技術で高速化に対応するイメージだ。

月刊テレコミュニケーション2015年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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