「2020年の商用化」という明確なターゲットを設定して5Gに意欲的に取り組むNTTドコモ。これまでの3Gや4Gにおいてもドコモは世界のトップランナーだったが、これは5Gにおいても変わらない。
そのドコモにあって、モバイル通信技術をリードしてきたのが取締役常務執行役員 CTOの尾上誠蔵氏。同氏は10年前の4Gの議論と比べ、「今日の5Gの議論の状況はまったく違う」と語る。5Gは一体、これまでのモバイルの進化と何が違うというのだろうか。
「5Gには、世代を代表する技術は特にない」モバイル通信技術は、およそ10年ごとに新しい世代が登場してきた。ドコモが4G(LTE)の商用サービスを開始したのは2010年。ちょうどその10年後にあたる2020年に、ドコモは5Gの商用サービスを始めようとしている。
10年ごとに新世代へと進化してきたモバイル通信技術
そして現在は、5Gの商用化に向けて、世界中で議論や研究開発が活発化している段階だが、10年前の4Gのときの状況と比べると、どうなっているのか。そこで飛び出したのが、先ほどの「今日の5Gの議論の状況はまったく違う」という発言である。
「正確には11年前だが、ドコモは2004年には1Gbpsの伝送実験に成功していた。(4Gでは)これを使えばいいという確信があった」
3Gの場合はW-CDMA、4Gの場合はOFDMAというように、これまでは新しい世代への進化を実現するうえで核となる技術があった。ところが、「5Gには、世代を代表する技術は特にない」と尾上氏は指摘する。
これまでと違い代表的技術がない5G
4Gなどとは違い、複数の技術の組み合わせによって、新世代へと飛躍しようとしているのが5Gである。