KDDI2010年度第1四半期決算は増収減益、音声ARPUの減少が影響

KDDIは2010年7月23日、2010年度第1四半期決算を発表した。連結ベースの売上高は前年同期比1.4%増の8660億円、営業利益は同8.8%減の1293億円の増収減益となった。携帯電話端末の販売台数が281万台と昨年同期から約27%増加したが、携帯電話の音声ARPUの減少や、2012年7月の800MHz帯再編に伴う「トライバンド端末」への移行促進費用が減益につながった。

KDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏

事業別では、移動通信事業の売上高が前年同期比0.1%増の6637億円、営業利益が同12.6%減の1333億円。端末代金と通話料金を分離した「シンプルコース」への移行拡大により、第1四半期は音声ARPUが前年同期比490円減少した。これに対しデータARPUは同50円増加にとどまっており、総合ARPUも同7.9%減の5160円となった。

シンプルコースの契約率は今後も増え続けて6月末時点の49%から2011年3月には68%、数年後には80~90%に達する見込み。小野寺社長は「想定以上に音声の売上が落ちていることが一番の懸念材料」と語るとともに、「このペースで行けば、今後2年間は音声ARPUが増加に転じる可能性は難しい」との認識を示した。

KDDIでは全社をあげてコストコントロールに取り組んでいるほか、データARPU増に向けた施策を強化している。「ミドルエンドからローエンドのユーザーにどれだけ使ってもらえるかが鍵を握る。今まで使っていない方にも使っていただけるようなコンテンツやアプリケーションを開発することが重要になる」と小野寺社長は述べた。

一方、固定通信事業の売上高は前年同期比3.3%増の2141億円。営業損益は54億円と前年同期の107億円から半減した。

昨年度末に実施したネットワークのスリム化等により余分なコストが削減されたこと、CTCやJCN、海外の子会社といったグループ企業の利益が拡大したことが寄与した。さらに、期末に向けてFTTHの顧客基盤の拡大が見込まれるほか、中小法人向けサービス「KDDIまとめてオフィス」による売上増加も想定しており、「第2四半期の黒字化を目指す」(小野寺社長)という。

ジュピターテレコム(J:COM)との事業提携については、6月10日に住友商事も含めた3社の間で覚書を締結後、現在は主に通信事業・商品提携ワーキンググループで連携内容についての検討を進めている。小野寺社長は「戦略的パートナーシップを構築しながら、アクセスライン戦略の拡大、FMBCサービスを拡大したい」と語った。

ケーブルプラス電話卸を利用したJ:COMの新電話サービスなど、ケーブルプラス電話やau携帯電話と組み合わせた新しいサービスを2011年4月から開始する予定。各サービスの詳細については、J:COMより時期をあらためて発表されるという。

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