導入前に音声品質を確認しよう
音声品質も、クラウドPBXを選ぶうえで重要なポイントだ。オフィス向け電話製品の卸売業などを手掛ける石渡電気 代表取締役社長の石渡秀明氏によれば、「クラウドPBXを導入したものの、音声品質に問題があり、ビジネスフォンに戻したという話も聞く」。導入前に音声品質を十分に確認しておくことが重要だ。
ソフトバンクでは、クラウドPBXの音声品質を事前に確認できるラボを本社に構えている。モバイル端末での通話にVoLTE(Voice over LTE)を利用するConnecTalkのユーザーからは、「『思っていたよりも音声品質がいい』との声をいただくことも多い」(松島氏)そうだ。
都築電気のTCloud for Voiceも、通信事業者が提供するFMCサービスと連携しながら、既存のFMC端末を内線として収容可能だ。「通信事業者の安定した音声品質をそのまま活かせる点が決め手となり、TCloud for Voiceを導入した企業も多い」と同社同部の鈴木麻衣子氏は紹介する。また、TCloud for Voiceの音声品質を事前に確認できる、最大1カ月間の無償トライアルサービスも提供している。
ハイブリッド構成のニーズが拡大
使い慣れたビジネスフォン/PBXからクラウドPBXへの移行に抵抗感を覚える企業も少なくない。こうした事情を背景に、「既存のオンプレミスPBXを残しながら、クラウドPBXの機能を使えるハイブリッド構成がかなり増えてきている」と石渡電気 執行役員の星野誠氏は説明する。
同社が取り扱うNECプラットフォームズのPBX「UNIVERGE Aspireシリーズ」「UNIVERGE SVシリーズ」は、チャット・プレゼンス機能やオンライン会議ツール、ファイル共有ツールなどを利用できるクラウド型ユニファイドコミュニケーション(UC)サービス「UNIVERGE BLUE」と連携したハイブリッド構成が可能だ。ビジネスフォンの使い勝手はそのまま、クラウドPBXの利便性も取り入れられる。
ハイブリッド構成から社内にPBXを設置しない構成への段階的な移行も支援する。具体的には、オフィスにSBC(Session Border Controller)等のゲートウェイ装置を設置して電話回線を収容する「BYOT(Bring Your Own Trunk)モデル」や、通信キャリアとUNIVERGE BLUEを直接接続することでSBCを不要にする「キャリア直収モデル」を提供する(図表2)。前者は既存の電話回線をそのまま活用でき、後者は機器構成をシンプルにできる点などがメリットだ。
図表2 ハイブリッド構成とフルクラウド構成のイメージ

都築電気のTCloud for Voiceもハイブリッド構成に加え、ゲートウェイ装置を介して既存のキャリア回線をそのまま利用する「外線GW利用構成」や、外線網とTCloud for Voiceをクラウド上で接続して各拠点のゲートウェイ装置を不要にする「フルクラウド構成」をラインナップする。
都築電気では、フルクラウド構成をまず提案しているというが、「一気にフルクラウド化する必要はなく、お客様の働き方や拠点設備に合わせ、A拠点はフルクラウド化し、B拠点はハイブリッドで運用するといった構成も可能だ」(同社の鈴木麻衣子氏)
ソフトバンクのConnecTalkも、ハイブリッド構成に対応するほか、物理的な電話回線やゲートウェイ装置を不要にするワイヤレス外線サービス「SmartCalling」と組み合わせて利用できる。同社の山之腰氏によると、「ConnecTalkを利用する企業の半数以上が、SmartCallingをセットで導入している」そうだ。
Teams連携で広がる利便性
サードパーティ製のシステムやサービスとの連携も、クラウドPBXを選ぶ際に確認しておきたい。なかでもMicrosoft Teamsとの連携については各社が対応を進めている。例えば、NECプラットフォームズの「UNIVERGE BLUECONNECT for Teams」は、TeamsでUNIVERGE BLUEの通話機能を利用できる。TeamsとUNIVERGE BLUEの画面を切り替えることなく、電話の発着信などを行える。
ソフトバンクも、Teamsから会社の固定電話番号で外線通話が可能なクラウドPBXサービス「UniTalk」を提供している。
もちろん、Teams以外の外部サービスとの連携も進んでいる。石渡電気が取り扱うプロディライトの「INNOVERA」は、SalesforceやkintoneなどのCRM(顧客管理システム)と連携し、着信時にスマートフォン等の画面上に顧客情報をポップアップ表示できる。通話録音管理サービス「FlexPlayer」とも連携できる。
都築電気のTCloud for Voiceは社員や取引先の連絡先をクラウド上で一元管理できる「PHONE APPLI PEOPLE」との連携を標準機能として提供している。着信番号を登録済みの名刺情報と照合し、相手の氏名や会社名を画面上に表示する。社員のプロフィールや保有スキルなども確認できるため、「社内で誰がどの分野に詳しいのか」を見える化し、相談相手を探したい際にも役立つ。
CTI(Computer Telephony Integration)サービス「CT-e1/SaaS」との連携も可能で、コンタクトセンター向けの高度な電話応対機能を追加できる。通話録音やIVR(自動音声応答)、顧客からの電話を空いているオペレーターや適切な担当者へ振り分けるACD(着信呼自動分配装置)などを利用可能だ。










