TBSテレビとShiftallは2026年11月5日に新製品発表会を開き、次世代配信デバイス「HOMRA 4K(ホムラ フォーケー)」を発表した。TBSとWOWOWエンタテインメントが共同で開発・展開する超低遅延映像伝送プロトコル「Live Multi Studio(LMS)」に対応する手のひらサイズの映像配信デバイスだ。発売は2027年3月、価格は10万円程度を予定する(LMSの利用料は別)。

TBSテレビ 未来技術革新事業部 部長の中野啓氏(左)と、Shiftall 代表取締役CEOの岩佐琢磨氏
発表会に登壇したTBSテレビ 未来技術革新事業部 部長の中野啓氏はHOMRA 4K開発の背景として、中継やライブ配信の現場が転換点を迎えていると説明した。視聴者ニーズが多様化し、「多視点で高品質なライブ配信が求められている一方で、制作現場は今も大型中継車と大掛かりな機材を使い、多くの費用と人員をかけている」。
その解決策としてTBSが推進しているのが、撮影現場から離れた場所で映像・音声の切り替えや調整を行うリモートプロダクションである。LMSはインターネット経由で映像・制御信号の低遅延伝送を可能にする技術であり、2024年のリリース後、リモートプロダクションの展開を後押ししてきた。
また、Shiftall 代表取締役CEOの岩佐琢磨氏は、ライブ配信市場の変化を指摘した。「コロナ禍を境にライブ配信は当たり前のものとなり、スマートフォン1台による手軽な配信と、本格的な機材を使う配信への二極化が進んでいる」という。
こうしたプロの中継放送から個人レベルのライブ配信まで、幅広い分野でLMSは活用されている。中野氏によれば、「最近のサッカー国際試合では、レフェリーカメラの映像伝送にも使われた」。
0.1秒以下の低遅延通信を「簡単接続」
LMSは、0.1秒以下の超低遅延伝送と、パケットロス時の再送による安定性を両立した映像伝送プロトコルだ。中野氏は、「インターネット経由でもポート開放なしで接続できる」「映像・音声に加え、PTZカメラやスイッチャーの制御信号、タリー信号も伝送できる」といった特徴を挙げた。

LMSはインターネット経由で簡単に接続でき、映像だけでなく制御信号も送れる
また、LMSは、遠隔操作用の低遅延映像と、安定性を重視した放送用映像の2つを1回線で同時に送受信する「マルチレイテンシー」で特許も取得している。映像制作の現場では従来、それぞれに別の機材と回線を使っていたという。

特許技術「マルチレイテンシ」の概要
こうした特徴が放送・映像制作の現場のニーズに合致して利用シーンが広がる一方、導入・運用においては課題もあった。
SDIカメラの映像をLMSで送るには、キャプチャー機器でPCに取り込み、PC上のLMSアプリから伝送する必要がある。中野氏は、PCの設置スペースや長時間運用時のフリーズ、可搬性の低さを問題点に挙げた。
これを解消するためにShiftallと共同開発したのが、HOMRA 4Kだ。3G-SDI/HDMI入力とLMSを小型筐体1台に統合。手のひらサイズのこのデバイスをカメラをつなぐだけで、PCなしに映像・音声を伝送できる。













