端末を全面に押し出した京セラブースのもう1つの目玉が、モバイルインフラ分野だ。今回は、(1)新開発の小型LTE基地局装置、(2)WiMAX用の屋内リピーター、(3)アダプティブアレイシステムの3つのソリューションが出展された。
(1)は重量わずか12kg、体積12リットルと小型・軽量だが、いわゆるRRU(リモートラジオユニット)ではなくベースバンドユニットも内蔵する一体型のLTE基地局装置である。最大10MHz幅×2(15、20MHz幅にもオプションで対応)の搬送波1波を2×2MIMOで運用することが可能。出力は4Wで「マイクロセル基地局」としての利用が想定されている。
最大の売り物は小型・軽量かつ防水・防塵仕様で場所を問わず設置できる点。特に電柱への設置を想定した製品づくりがなされており、電力会社の電柱利用基準を満たす。近年、住宅地などへの携帯電話基地局の設置が難しくなってきているが、この装置を使うことで電柱という身近な既存インフラをベースに容易に大容量インフラを実現することが可能となる。
一般に携帯電話の基地局は隣接局との干渉を避けるため、緻密な置局設計が必須となるが、この基地局ではSONや京セラが開発した干渉回避システムの導入で、マクロセルの中にも容易にマイクロセルを設置でき、ピンポイントで容量の拡大が可能だという。この干渉回避システムは時間軸(タイムスロット)と周波数軸(サブキャリア)の2つで基地局間の同期を取ることで実現するもので、同社が3GPPに提案、標準化が行われているとのことだ。
京セラでは、LTEインフラの構築が本格化する2012年頃に国内の携帯電話事業者に提供できるよう開発を進めていくほか、海外展開にも力を入れる。
電柱への設置を想定したマイクロセル基地局 |
(2)のWiMAX向けリピーターも通信事業者向けのソリューションで、屋内エリアのカバーを安価に可能にする。電車などの移動体向けの製品もラインナップされている。
車両用や屋内設置型などのWiMAXリピーター |