UCやモバイルは“オーケストラ”のようなもの
しかし、人事総務や情シスの不満の多くは、最初の制度設計やシステム構築時に発生する一時的なもの。しっかりとした制度やシステムを構築しておけば、その後はあまり負荷がかからずに運用できる。
むしろUCやモバイルの導入で最も耳を傾けなければならないのはエンドユーザー、すなわち実際に利用する従業員の声だ。
半澤氏は、UCやモバイル導入後のユーザーの声としては、「使いにくい、難しい、わからない」「パスワードが多すぎて混乱」といった意見が多いことを紹介。
そのうえで、「事例から学べるUCやモバイル導入の“一番の敵”は、ユーザーにシステムを利用してもらえないスパイラルが発生してしまうことだ。ユーザーの不満は、そのままシステムの利用頻度や活用レベルに直結する。不満を放置すれば利用者は減り、その結果、目的を達成できずに『このシステムの導入は失敗だったね』と結論づけられてしまう」とした。
UCやモバイルの導入後、ユーザーからよく寄せられる不満 |
では、どうすれば失敗を避けることができるのだろうか。半澤氏は、「課題共有」→「課題改善」→「効果UP」→「利用度UP」という改善のスパイラルを回すことが“成功の秘訣”だと説いた。
導入当初は、物珍しさもあって一定の利用率が期待できる。だが、大事なのは、ここからだ。判明した課題を共有し、実際に改善していけるかどうかで、その後の利用率や効果には大きな違いが生じてくる。
「ワークスタイルは、なかなか簡単に変わるものではない。新しいワークスタイルが浸透するまで、長い目で改善のスパイラルを繰り返していくことが重要だ」
UCやモバイル導入を成功させるための秘訣は、改善のスパイラル |
最後に半澤氏は、UCやモバイルの導入をオーケストラにたとえて講演を締めくくった。「UCやモバイルは、多くのユーザーが気持ちよく使うことで大きな効果が表れるオーケストラのようなもの。1人ひとりが心地よい音色を出さなければ、全体の演奏は失敗に終わるだろう」
ユーザーの利便性を強く意識すること、ユーザーを置き去りにしないことが、成功を手に入れるポイントになるという。