ワークスタイル変革に不可欠なのは、いつでもどこでも仕事ができる環境をICTによって整備すること。そして、そのポイントとしては大きく2つが挙げられるだろう。
1つは「いつでもどこでも仕事に必要なコミュニケーションができること」、もう1つは「いつでもどこでも仕事に必要な情報にアクセスできること」だ。
ワークスタイル変革Day 2014でのNTT東日本の講演では、この2つを低コストかつセキュアに実現する中堅中小企業に最適なスマートデバイス活用ソリューションが紹介された。
NTT東日本のスマートデバイス活用ソリューション |
スマホ内線化の2つの課題を解決
最初にNTT東日本 ビジネス開発本部 第三部門 情報機器開発担当の宇津木健氏が登壇し、スマートフォン内線化ソリューションについて説明した。外出先でもスマートフォンを使って、社内と無料で内線通話できるのに加えて、ひかり電話の安価な通話料で外線通話もできるソリューションである。
NTT東日本 ビジネス開発本部 第三部門 情報機器開発担当 宇津木健氏 |
パケット定額とVoIPを活用して通話料無料を実現するスマートフォンの内線化ソリューションは各社から提供されているが、「音声品質やセキュリティの確保が問題になっている」と宇津木氏は指摘する。
音声品質に課題が生じるのは、モバイル網の場合、パケットの遅延などが発生しやすいからだ。「私どもの研究所の調査によると、モバイル網を経由すると最大2秒くらいの揺らぎ、パケットの遅延が発生する」。また、セキュリティについても、「インターネットを介するため、盗聴の恐れがある」。
スマートフォン内線化の課題 |
そこでNTT東日本が開発したのが、ビジネスホンやPBXに取り付けて利用するモバイル内線アダプターだ。Android/iOS向けの専用アプリをインストールしたスマートフォンと組み合わせて利用することで、高音質・高セキュリティなスマートフォン内線化を実現できるという。
モバイル内線アダプターが、モバイル網に適した高圧縮やパケットの補正などの処理を実行することで、モバイル網独特の揺らぎなどを吸収。また、暗号化を行うことでセキュリティも担保するという仕組みになっている。
モバイル内線アダプターが高品質を実現する仕組み |
モバイル内線アダプターの3つの活用メリット
続いて宇津木氏は、モバイル内線アダプターの3つの活用メリットについて紹介した。
1つめは、スムーズな顧客対応だ。顧客などからかかってきた電話を、社員がどこにいても内線で取り次ぐことができる。
2つめは、BYODにおけるプライベートの確保だ。私物のスマートフォンを使って業務上の通話を行う際、気になるのは自分のプライベートな携帯電話番号が相手に知られてしまうことだ。しかし、モバイル内線アダプターを活用すると、いったんビジネスホンを経由してから、外線通話を行う。このため、相手に通知される番号もオフィスの0AB~J番号となる。
そして、3つめはコスト削減である。パケット定額に加入しているスマートフォンであれば、内線通話が無料。また、外線通話についても、ビジネスホンを経由することで、3分8円と安価なひかり電話の通話料金でかけられる。
通信コストの削減はスマートフォン内線化の重要なメリットの1つ |
私物のスマートフォンからかけた業務上の外線通話の料金が個人に請求されないので、BYODにも非常に適している。
例えば、ある建設会社は、一部社員から「社用の携帯電話を支給してほしい」と求められていたものの、コスト面がネックになって導入していなかった。社用の携帯電話を導入するとなると、その端末代に毎月の通信コストと、企業の負担は決して軽くない。
そこでモバイル内線アダプターを採用。従業員の私物のスマートフォンを有効活用しながら、外線通話を会社負担にできるようになり、「非常に喜ばれている」という。
ある建設会社のモバイル内線アダプター活用例 |