【日本医科大学千葉北総病院】ドクターヘリで現場急行、スマホで患者の状態を撮影しスピーディに情報共有

救急医療活動は一刻を争うだけに、患者の情報を迅速かつ正確に伝えることが重要だ。千葉北総病院では、現場の医師の手を煩わすことなく映像を簡便に伝送できるシステムにより成果をあげている。

千葉県印西市にある日本医科大学千葉北総病院は、救急医療活動の草分け的存在といえる。1999年に地域で2番目となる救命救急センターを設置、2001年には全国で初めてドクターヘリ(救急現場に医療チームを送り込む救急医療専用ヘリコプター)を導入した。

日本医科大学千葉北総病院の全景
日本医科大学千葉北総病院の全景

急病や事故の患者に初期治療を施し、病院に搬送する救急医療活動は、時間との戦い。ときには、文字通り1分1秒を争う。

受け入れ先の病院では、必要に応じて執刀医や手術室、輸血などを準備するが、適切な対応のためには現場からの迅速かつ正確な情報伝達が不可欠で、これが救命率を左右すると言っても過言ではない。

同病院は今年2月、救命率の向上を目的として、NTTドコモの「現場モバイル映像伝送システム」を導入した。

図表 「現場モバイル映像伝送システム」のイメージ
「現場モバイル映像伝送システム」のイメージ

このシステムは、現場の映像をスマートフォンで撮影し、携帯電話網を通じて病院に送信するためのもの。ドクターヘリで現場に出動して救命にあたるフライトドクターが、スマートフォンを専用のケースで胸ポケットに装着し、背面カメラで現場映像を撮影する。

院内にあるドクターヘリ管理室や、初療室の医師と看護師は、専用ソフトウェアとPC/タブレットを使い、患者の容体を映像と音声で確認することができる。

他の映像伝送システムとの大きな違いは、SMSを使って、管理室から遠隔で伝送の開始・終了の操作を行える点だ。伝送が始まると自動的に録画を開始し、終了するとファイルが生成されて映像が保存される。「救急活動に専念するためスマートフォンに触れずに映像を伝送したい、という我々の要望を反映してもらった」と、救命救急センター医師でフライトドクター歴6年の本村友一氏は話す。

日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター 医師 本村友一氏
日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター 医師 本村友一氏

導入費用は150万円前後で、これまで自治体で導入されてきた大がかりなシステムの5分の1程度に抑えることができたのも特長だ。

月刊テレコミュニケーション2014年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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