LTE Directで端末同士が直接通信!――O2Oなどキャリア主導の新ビジネスも可能に

携帯電話同士が基地局を介さないで直接通信を行う新技術「LTE Direct(LTE-D2D)」の標準化が大詰めを迎えている。標準化作業の開始当初とは、その機能や用途はだいぶ変わってきているようだ。

LTE Directは、携帯電話向け半導体トップの米クアルコムがFlashLinqの名称で開発を進めてきたもので、現在3GPPリリース12の一部として標準化が行われている。9月には仕様が固まる見込みで、クアルコムが機能を早期に携帯電話チップセットに実装すれば、2015年末にも対応スマートフォンが登場する可能性がある。

このLTE Directはどういうものになるのだろうか。クアルコムの日本法人でプリンシバルエンジニアを務める北添正人氏は、「標準化の過程で機能・用途が当初の構想とはかなり変わってきました」と話す。

LTE Directは、(1)各端末が発信する信号から通信相手を探す「ディスカバリーモード」と、(2)実際に端末間の通信を行う「コミュニケーションモード」の2つに分けて仕様策定が進められているが、特に大きく変化したのが後者だ。

図表 LTE Directの通信形態
LTE Directの通信形態

コミュニケーションモードでは当初、メッセージ通信やVoIPによる通話を端末間で直接行うための仕様策定が想定されていたが、標準化はリリース12では見送られた。これらの機能は携帯電話と重なるため用途が見え難いというのだ。

コミュニケーションモードで唯一規格策定が進められているのが一斉同報通信である。これは警察や消防などによる利用を想定したもので、実用化されれば、災害で携帯電話網が破壊されてもトランシーバーのような形で通話を行うことができる。

月刊テレコミュニケーション2014年5月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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