Boxが日本事業を本格化――三菱地所やサンリオ、DeNAなどが新規導入

企業向けクラウド型ファイル共有サービス市場においてリーダーのポジションにある米Box社が、ついに日本語版サービスを開始。これに伴い、日本での事業を本格化させる。コニカミノルタ、サンリオエンターテイメント、ディー・エヌ・エー、日揮、ファミマ・ドット・コム、三菱地所、早稲田大学がBoxを導入したことも発表された。

現在、22万5000社以上の企業、2500万人以上のユーザー、Fortune 500企業の99%に利用されているというクラウド型ファイル共有サービス「Box」。同サービスを提供する米Box社の日本法人であるボックスジャパンは2014年5月20日、日本語版サービスの開始に伴い、日本での事業展開を本格化すると発表した。

Boxが日本語対応へ
Boxが日本語対応へ

“企業向けDropbox”と紹介されることも多い通り、Boxの特徴はDropboxのような使い勝手の良さとセキュリティを両立させている点にある。米Box社 共同創業者 兼 CEOのアーロン・レヴィ氏は、「インフォメーション・エコノミーで競争優位性を保つためには、適切なユーザーに適切な情報を適切なタイミングで提供することが非常に重要」と指摘。そのためにはユーザーが求める使い勝手とIT部門が求めるセキュリティの両方が重要になるわけだが、「Boxは、両方のいいとこ取りをして合体させている」とした。

また、この日の記者会見では、日本における大規模な新規導入企業として、コニカミノルタ、サンリオエンターテイメント、ディー・エヌ・エー(DeNA)、日揮、ファミマ・ドット・コム、三菱地所、早稲田大学の名前も発表。三菱地所 街ブランド推進部 東京ビジネス開発支援室の島田映子氏が「典型的な日本の古い企業がBoxをどう活用しているのかを紹介したい」と登壇し、同社がBoxを導入した理由などを語った。

島田氏は、「図面など打ち合わせの資料が多いのが、我々の仕事の特色。今までは、ネットワーク上のサーバーの共有フォルダに資料を保管していたが、すぐに容量がいっぱいになる、社外の方と共有するのに手間がかかる、出張先からアクセスするのが大変、誰がいつ更新したのか履歴を辿りにくいなどの課題があった」ため。その解決策としてBoxを採用したという。Boxの容量は無制限で、社内外のメンバーとの協業が容易。また、すべてのファイルのバージョン履歴が保管されるほか、ほとんどのモバイル機器からも利用できる。

ファイル共有サービスの選定にあたっては、「特にセキュリティについては議論したが、海外の名立たる企業が利用しているという安心感も含めてBoxを採用した」(島田氏)そうだ。

Boxの導入企業例
Boxの導入企業例

ボックスジャパン 代表取締役社長の古市克典氏も「特に評価が高いのはセキュリティ」とアピールした。例えば、GEは全世界30万人の従業員用のクラウドストレージとしてBoxを採用するが、「GEがBoxを採用したのはセキュリティ向上のため。Boxのようなサービスを使わないと、従業員はメールで送ったり、家で普段使っているアプリケーションを会社に持ち込んだりする。そうしたことを一掃するため、GEはBoxを採用した」(古市氏)という。

Boxのセキュリティ機能の概要
Boxのセキュリティ機能の概要

日本での本格展開にあたっては、開発パートナーとの協力・協業にも力を入れていく。Boxの特徴の1つには、サードパーティとの連携ソリューションが豊富に提供されていることがあるが、現状はほとんどが英語版。「日本をイノベーションの発信基地にしたい」と古市氏は、パートナーと協力しながら、日本発の連携ソリューションを積極的に提供していきたい考えを示すとともに、新たな開発パートナーとしてNTTコミュニケーションズ、コニカミノルタ、サイボウズの3社を紹介した。例えば、コニカミノルタは同社の複合機とBoxを連携させたソリューションを提供する。

なお、日本では以前から伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、マクニカネットワークス、三井情報(MKI)の3社がチャネルパートナーとして販売を担っているが、本格展開に合わせてチャネルパートナーを大きく増やすことは「考えていない」(古市氏)とのこと。

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